*星空文庫

エピローグへ向けて

藤里 圭 作

  1. 静かな日曜日に
  2. 来客の足跡
  3. 鏡の人よ

静かな日曜日に

とても静かな日曜日
とても静かに星は流れた

昼間、誰にも見つからず
星は、流れた

私だけが知っていた
1つの星の終わりの時を

あまりに静かで、あまりに唐突で、
私はただ、ただ、星の最期を見つめていた

流れる星をすくうなんて、できないから

星は、静かに流れ、スープへ落ちた

白いスープへ星は落ちた
今なら、すくえる

簡単に、銀のスプーンで、そっと…

そうしなかったのはなぜ?

すくうことをせず、流しへ棄てたのはなぜ?
スープと一緒に呑み込まなかったのはなぜ?

おかげで、涙も溢れなかった。

来客の足跡

あなたは、チャイムも鳴らさず、唐突に上がり込んできた。
私が、来客だと気付いた時には既にテーブルについていた。

あまりに唐突で、私は酷く吃驚したけれど、靴はきちんと揃えられていた。

思えば、あなたはいつもそうだった。
私は毎回吃驚したけれども、あなたの訪問をいつしか心待ちにしていた。

思えばあなたの方からいつも訪ねて来てくれていた。
そのあと、関係を保てなかったのは、ひとえに私の所為。

あなたが来るたび付けていく足跡を、ぼんやり眺める日々を送る。
この足跡を辿れば、あなたにいつでも会えるのに、私には履いていく靴も、持っていくお土産も、時間を繋ぐだけの話題もない。

ただ、あなたに会いたい。

それだけの理由で、出掛けるだけの勇気がない。

鏡の人よ

歪な私を「歪だ」と言って
惨めな私を「惨めだ」と言って
かわいくない私を「かわいくない」と言って

ただ、あるがままの私を、あるがままに証明して

そして、そんな私を慰めなくていいから、ただ、私が私に耐えられない時、何も言わずに、抱き締めて欲しい

この手を包んで、何も起こらないことを、奇跡など無いということを、わからせて欲しい

あるのは、あなたの体温だけ。

そう思えば、私は私を耐え抜き、生きて行けるとすら思える

『エピローグへ向けて』

『エピローグへ向けて』 藤里 圭 作

失恋に向けてのぼんやりした詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2016-05-17
Copyrighted

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