江戸の春/楼下の宴 征四郎疾風剣(Ⅲ)より

限りなく季節は移り

再び巡り来たる春

楼下の盃に心華やぎ

花吹雪の中舞い踊る

()の袖の(あで)やかさよ

川面に浮かぶ屋形の上

三味の合間に小判が飛び交い

路傍に伏して食を乞う物さえ笑みを浮かべ

童の声かん高く辺りに響き

屋台の煙濛々として芳香を漂わす

墨堤の流れに眼を留むれば

まるで花天井のもと

浮かれる幾十万の人々を乗せ

大川を遡る巨船の如く見ゆ

江戸は今まさに春爛漫

人々はこの世の春を心ゆくまで謳歌せり


(征四郎疾風剣Ⅲ 巻頭句より抜粋)

江戸の春/楼下の宴 征四郎疾風剣(Ⅲ)より

江戸の春/楼下の宴 征四郎疾風剣(Ⅲ)より

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-03-25

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