私は臼を挽いている

私は臼(うす)を挽(ひ)いている

小さなときから祖母の手ほどきを受けて

見よう見まねで 小麦を石の穴に注ぎ入れ

私は臼を挽いている


彼女はヴァイオリンを弾(ひ)いている

小さなときから 母の手ほどきを受けて

見よう見まねでヴァイオリンを弾いている

そして数々のコンクールに優勝し

今や世界を駆(か)け巡(めぐ)り 大きなホールで人々の喝采(かっさい)を受け

彼女は今日もヴァイオリンを弾いている


私は臼を挽いている

小さな兄弟の面倒(めんどう)を見ながら今日も日がな一日

ぼんやりと外を見ながら私は臼を挽いている

彼女はヴァイオリンを弾いている

舞台(ぶたい)の上でライトを浴(あ)びて輝(かがや)きながら

花束を両手にいっぱい抱いて微笑(ほほえ)みながら

彼女はヴァイオリンを弾いている


私は臼を挽いている

彼女はヴァイオリンを弾いている

私は臼を挽いている

私は臼を挽いている

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-26

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