どうして此処に

振り向くと いきなり僕の部屋の片隅に あなたの姿が浮かんだ 

それもはっきりと まるでそこに 本当に居るかのように

あの時と同じ 錦秋模様の揃えの帯の着物姿で 椅子に腰を掛け

外していた視線を僕に向けて 憂いを含んだ目で 両手を膝に

ただ黙って じっと 僕を見つめている 

どうして 此処にあなたが居るのかと つい声を掛けたくなるほど

結い上げた髪の先から 白足袋の慎ましく閉じられた草履の爪先まで 

僕には あなたの姿がはっきりと 見えている 

一度目を閉じてみても 消えない やはり 僕を見つめているあなたが見える

僕はその人と お互いに開けない心を確かめるかのように 

いつまでも見つめ合っていた 

どうして此処に

どうして此処に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-11-16

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