フィガンローナ王国とその歴史
フィガンローナ王国
フィガンローナ王国の立憲君主時代はラミスタルシア法王暦89年から始まったとダーマン歴史書改訂版に綴られている。
北オクベアヌス大陸には当時の先駆国家であった、マナライゼン連合王国やサルバンデス聖教域、南パレゴン軍国などといった独自の信仰と文化を持つ国々が存在した。
そこへ、当時ミノレア海を渡った遠くの大地で、国家権力を揺らがせるほどの力を手にしていた、新生パラグラフ教軍による南パレゴン軍国と北のカメーラ荒野の戦争制圧によって、後々に残るパレゴン圈をフィガンローナ王国の誕生へともっていったのだった。
国家規模の犯罪として新生パラグラフ教軍は組織解体され、既に改宗されていたサルバンデス教をフィガンローナ王国における中心とした統治国家を形成させていった。
パラグラフ教は数百年前にさかのぼるロンギーヌ・ウルス法王暦晩年において、万能繁栄を極め、宗教社会そのものを信仰以外のもので支配させようとしていたため、当時のウルス法王家によってパラグラフ教そのものをサルバンデス教として完全再構築していたのだ。
サルバンデス教は当時実在しなかった宗教であった。遥か遠い人類史上初の法王暦を造った初代リリユス法王がサルバンデス民と呼ばれる人類未踏を旅する放浪民族生まれであったことから、その民の文化的崇拝として神秘主義といった国民宗教と化していったのだ。
ラミスタルシア法王暦末期でのフィガンローナ王国は大陸をまたぐ戦争時代に投げ出されていた。約1000年もの法王暦を支配したラミスタルシア一族も長きに渡る戦争時代で大きな損傷と莫大な責任が課せられたことにより徐々に法王権力を失っていきつつあった。
フィガンローナ王国における最後の英雄王となったギルガメッシュ王は国を救うための余儀なき手段として王権の取消と国家権力解体、国の司法・王政・社会政治などの完全解体といった国全体の土地と権力をラミスタルシア法王への返還へ急いだ。理由は未だに謎を残している部分が大半だが、このことから国民の安全が法王軍によって保障されたのだ。
人類技術や非人類技術などの発展にともない、人間の時代はまさに最高潮とも言えた。
フィガンローナ王国復興を願う人々は後々にも歴史に名を刻むことになっていった。ラミスタルシア法王暦最後の年に起きた全法王暦最大の戦い、リリユスの大戦ではフィガンローナ王国の栄光が、その名と共に残されたのだった。
宗教社会に名を轟かせたジャカレ・バスティン卿は後の大国家となるサルバンデス聖教域や東西に別れることとなるマナライゼン連合王国、永遠の王国と呼ばれたフィガンローナ王国、非人類技術の開拓世代を担った大クロスシーア共和国などの強国たちの始祖ともなった者で、最後の北大陸であったオクベアヌス大陸の独裁開拓者であった。
彼はガセラバイゼン法王暦800年代に初代エカテリーナの義弟として育てられた男で極度の強迫観念症で知られていた。彼の信仰は使われていなかった様々な魔術や崇拝を行い、宗教社会に多大な革命を呼んだ。彼の発見した開拓世代では様々な現地人、主なガイア原住民の大量虐殺により、残酷な独裁開拓者として北オクベアヌス大陸の宗教支配を見事に実現させていった。
当初、サルバンデス教側のジャカレ卿に対抗していた新生パラグラフ教が同時に大陸を進行していたことから、開拓の終わりに法王軍によって新生パラグラフ教が滅ぼされるときまで抗争が続いたという。
ロンギーヌ・ウルス法王暦15年。23歳のフィガンローナ・バスティン修道士が叔父のジャカレ卿と共に、新大陸へ17度目の航海をした時に、残酷な虐殺行為へ反感を持ち、新しい改革案を立てて原住民の約2.5%を生き残させることに成功した。残った数千万人のガイア原住民は大陸の南東を拠点としていったと、オクベアヌス創世記初版で綴られている。後にパレゴン圏となるその地域は200年の時を経て、救世主フィガンローナを名とする王国へ成長していったのだ。
国民は比較的、穏和な人種であり、ラミスタルシア時代の諸国家のなかでも有数の平和国民であった。
当時代においては戦争時代の始まりともなった法王暦だったため、他の国々の内戦や紛争、後半から打撃的な闘いとなる大陸戦争といった国々全体の問題が起きていくなかで、フィガンローナ王国や大クロスシーア共和国などの中立国は平和を保てていた。
時代の終盤、戦乱の末に現体制の不滅と平和の為、フィガンローナ王国は長年の中立を捨て、英雄王ギルガメッシュと共にラミスタルシア法王家と全世界への宣戦布告を行った。フィガンローナ王国最初で最後となる、三大陸をまたぐ大規模の戦いとなったリリユスの大戦はサルバンデス聖教域へのフィガンローナ王国の勝利を機に終結した。実に数十兆以上の人々が犠牲となり、既に荒廃しきったフィガンローナ王国は国家の返還と国民の救済を行った。
当時、戦場となったガリシウム大陸、北・南オクベアヌス大陸の荒れ果てた大地を新たに復活させようとしていたパナサリーデ人民解放軍は行く末を失ったフィガンローナ国民と共に後の新法王暦を担っていった。
この国は約1000年の間、繁栄と戦乱の時代の流れのなかで文明の歴史を生き抜いた、誇り高き国であり、その後の歴史にも刻まれたほどゆえ、永遠の王国と呼ばれた。
フィガンローナ王国に栄光があらんことを、この場をだいして述べる。
フィガンローナ王国とその歴史