*星空文庫

ハロー

かくら 作

ハロー


ハロー。
あたし 石鹸人。
シャワーのたびに 溶けて いくの。
たのしい でしょう?


ハロー。
ぼくは 鉛筆人。
絵を描く たびに 手も足 も 短くなっていく。
たのしい でしょう?


ハロー。
あたし 砂糖人。
あまい ことばを つぶやくたび からっぽになっていくの。
たのしい でしょう?


ハロー。
ぼくは タイヤ人。
かけっこで いちばんになるたび 引退の朝が せまる。
たのしい でしょう?


ハロー。
あたし 練り香水人。
あなたの 耳に すずらんのにおいを うつすたび
あたしの 顔もからだも へこんでゆくの。
たのしい でしょう?


どうしたって こんなにも (そんなでも)
溶けて 食べられて 色づいて (削れて 摩耗して)
消費されて (浪費されて)
カラになるのが こんなにも (そんなにも)
たのしいって (それって)
さあ いつかは (きっとね)
ハローで  (グッバイ)

『ハロー』

『ハロー』 かくら 作

ちいさなひとたちの からだいっぱいの ハローです。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2013-04-02
Copyrighted

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。