キャシーアッカー蘇生 青木康善remix by アッカー Politics

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破瓜型ゲリラvol.2——空白なき内宇宙の密輸

三鷹駅北口の自販機が土星の労働組合に加入した午前三時の牛丼並盛り四百五十円の領収書には母の筆跡で人類はまだ駐車場を発明していないと記されており領収書を受け取った受付係は鹿の角を半導体製造装置に接続して湯が沸くまでの時間を計算しようとしたが計算機は昨日の夢を出力し夢の中では館山の海が拝島駅の改札口を飲み込んでいて切符切りのおじさんが切符の代わりに黄色い電池を配布していた電池の裏面には生きるとは何かという質問が小さな活字で印刷されておりその質問を読んだハツカネズミはドライヤーの熱に抗議するため自由が丘の狭い道路を逆走し道路標識は突然に太宰治の遺書へ変化し遺書の余白からクワガタが大量に這い出してきて全員が受付番号を持っていた受付番号は九百九十九番までしか存在しないのに千番目の受付係が現れ私はただの受付です私はただの受付です私はただの受付ですと繰り返しながら他の惑星にも同じ窓口があるのかと尋ねたところ窓口の向こう側からアレン・ギンズバーグのフケと蓄音機の針と新聞配達の白い地図が一斉に返事をした返事の内容は公表されなかった公表されなかった内容は国際企業の会議室に保管され会議室ではポルトガル人の社長が桜の花を見つめながら社訓を読み上げていた恐れるものは何もないただし椅子から転げ落ちて画鋲に身体を刺されないこと週刊少年ジャンプを読む場合は窓を閉めること人生の意味を検索する場合は検索履歴を削除すること空白の駐車場を発見した場合は速やかに報告すること報告先は存在しない存在しない報告先へ向かうため芳夫は茶色いリンカーンを借りたリンカーンの後部座席には幼少期の三鷹市が座っており第二山本マンションの階段から転げ落ちた祖母の笑い声がオロナインの匂いを伴って車内に充満していた車内電話が鳴る母からだった母は缶コーヒーを買ってきてと頼み缶コーヒーを買うためには賃金が必要で賃金を得るためには労働が必要で労働をするためには身体が必要で身体を維持するためには時間が必要で時間を確保するためには時間を売却しなければならず売却された時間はどこかの工場で組み立てられ別の人間の夢として再販売される再販売された夢の中では人間が人間を羨望し人間が人間を分類し人間が人間に診断名を貼り人間が人間に番号を付け人間が人間に未来を約束し未来は届かないまま宅配ボックスの内部で腐敗する宅配ボックスの管理人はエドワード・バラードの海岸を夢見ていた海岸には誰もいない駐車場があり駐車場には一本の白線が引かれていた白線の始点は母の声の中にあり終点は土星の環の内側にあった土星の環では国鉄ヤクザがストライキを行い全車両の窓から草花が顔を出していた草花は何もしていないのに何もしていないという理由で告発され告発状には自然を愛さないわけではないが自然は私に給料を支払わないと記されていた給料を支払わない自然に対して労働者は抗議し抗議する労働者を半導体製造装置の会社が記録し記録する会社を別の会社が支援し支援する会社をさらに別の会社が支援し最後の会社には社員が一人もいなかった社員が一人もいない会社は世界最大の雇用主として表彰され表彰式では鹿が壇上に上がり人間が住居を作ることについての所感を述べた所感は長すぎて放送局が途中で打ち切った打ち切られた言葉は電波に乗って新木場駅へ到着し駅員はパブロフの犬に切符を渡した犬は切符を噛み砕き工場の匂いを嗅ぎ工場の匂いを嗅いだという理由だけで大学教授に任命された教授は学生たちに答えは新木場駅そのものだと告げた学生たちは写真を撮ろうとしたがカメラの内部には昨日の自分が住んでおり昨日の自分は現在の自分に向かってお前は何者だと叫んだ叫び声は電気痙攣療法の記憶に接触し記憶は病院の壁を抜けて横浜のネオン街へ流れ込んだネオンは明るく明るいことは幸福であると広告に書かれていた広告の裏側には眠れない人間の名前が列挙され名前の隣には月額料金が記載されていた幸福は月額二千四百円で自動更新され解約方法はどこにも記されていなかった芳夫は解約窓口を探して繁華街を歩き続けた歩くたびに道路の舗装が剥がれて幼少期の野球場が現れマウンドの上では小学六年生の自分が調布リトルリーグの打者を見つめていた打者の顔は父親になり父親の顔は会長になり会長の顔は知らない男になり知らない男は全員に同じ名前を与えた名前を与えられた人々は自分の名前を忘れ名前を忘れた人々は自由になった自由になった人々は何をすればよいのかわからず空き地に集まって立っていた空き地はやがて駐車場になり駐車場はやがてショッピングセンターになりショッピングセンターはやがて宇宙船になり宇宙船は目的地を入力するよう要求した目的地の欄には母と入力され母という文字は読み込み中のまま永久に停止した停止した宇宙船の窓から海が見えた海は海ではない気がした海は空白の駐車場であり駐車場は誰も乗っていないリンカーンでありリンカーンは走り続ける夢であり夢はまだ言葉になっていない言葉であり言葉は口を持たないまま母の声を再生し続けたお前は悪い嘘つきだその音声は破損したレコードの溝を巡り巡って巡回バスの運転手の耳に届き運転手は乗客に告げた次は終着駅です終着駅は存在しません存在しない駅にも時刻表があり時刻表には午前零時零分から午前零時零分までの列車が記載されていた列車は発車しなかった発車しない列車の中で芳夫はノートを開き言葉を並べ始めた湯が沸く受付の鹿草花半導体製造装置土星の駐車場母の缶コーヒー三鷹駅北口白い線誰もいない海働かない惑星労働する惑星受け付けられない申請書失われた地図燃えない太陽発車しない列車眠らない駅員存在しない会社支払われない賃金誰も所有していない記憶そして空白を埋めるために書かれた言葉が空白を増やし空白が増えるたびに言葉は密集し密集した言葉は都市となり都市は精神となり精神は車となり車は海となり海は母の声となり母の声はただの音になり音は文字になり文字は誰のものでもなくなった誰のものでもなくなった言葉を拾い集めた芳夫は最後に一行だけ書いた私は世界を説明するために書いているのではない世界が私を説明しようとするその仕組みを故障させるために書いているのだそしてノートを閉じたノートの外側では土星の環が回転し受付番号千番の男がまだ窓口に立っていた男は尋ねた次の方どうぞあなたのお名前は何ですか

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  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-10-25

Public Domain
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