カミカクシ

カミカクシ

 10月24日。
 各都道府県で同日、約同時刻、児童が行方不明に合うという事件が発生し、13人もの児童が神隠しに合った。
 予備校の帰りに居なくなるという手口が酷似していた事もあり警察は同一犯であり、組織的犯行だと判断したが行方不明になった児童達の年齢もバラバラで共通点が見つからず無差別的拉致誘拐と決めつけた。
 身の代金や犯行声明は無く。
 それがより一層世間の恐怖を煽った…。

 事件は毎日報道され、児童達の顔写真や行方不明当日の服装、当日の足取りが克明に報道されていたがそれでも児童達の行方は分からなかった…。


 だが…。


 11月24日。
 行方不明だった児童達が一カ月ぶりに見つかった。
 しかも、消えた当日着ていた服を着て「ただいま」と自宅に自分で帰って来たのだ。
 直ぐ児童達の身柄は警察指定の病院で精密検査も兼ね入院した。

 ある14歳の少女は暴行された痕も何も無く、至って健康だった。
 事件担当の女刑事は言う。
「今まで何処に居たの?」
「また? 何処って何? 私塾の帰り何だけど。意味分かんない。帰ったらお母さんは泣き出すし、お父さんは大丈夫なのかっ、何処に居たんだってずっと聞いて来るし…」
「じゃ、今日は何月何日?」
「10月24日でしょ? えっ違うの?」
「今日は11月24日よ」
「ウソ…あっでも…」
 少女は制服の上着ポケットからケータイを取り出し、画面を覗くと大きく見開いた。
「あっ本当だ…」
 奇妙な感覚が少女を襲い始めたらしく、手が震えて居た。
「ちょっとケータイ見せて」
 確かに少女のケータイの日付は11月24日だった。
 充電は後二本残っている。
「何処かで充電したの?」
「してない…」
「そう。塾の帰り何か変わった事無かった? 誰かと会ったとか、何か見たとか」
「あぁ、そう言えば、綺麗な月を見た」
「月?」
「うん。月が二つあって、一つはいつも見てる普通の月なんだけど、もう一つが赤っぽい月で綺麗だなって5分くらい見てたけど、その後はどこにも寄らずまっすぐ帰って来たけど…」
「そう。つまり一カ月間の記憶が無いのね」
「そうなのかな…」

 他の児童達も一カ月間の記憶が無く、二つの月を見たと言う。
 そして、一つは赤かったと証言した。
 その他は何も覚えて居ないという。
 児童達は一カ月間何処で何をしていたのだろう…。


 - end -

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10月24日。各都道府県で同日、約同時刻、児童が行方不明に合うという事件が発生し、13人もの児童が神隠しに合った。予備校の帰りに居なくなるという手口が酷似していた事もあり警察は同一犯であり、組織的犯行だと判断したが行方不明になった児童達の年齢もバラバラで共通点が見つからず無差別的拉致誘拐と決めつけた…。※続きは本文へ。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-08

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