◽️プチストーリー【水曜日が、待ち遠しい】(作品No_11)

◽️プチストーリー【水曜日が、待ち遠しい】(作品No_11)

【作者便り:いつもと違う感覚に身を委ねる。待ち遠しいという感覚。】

水曜日から音が奪われた。そう、言う人もいる。

私が生まれたときには、もうそれが当たり前になっていた。
どうやらあるときから徐々に、世界中で水曜日に音が聞こえなくなってきたそうだ。
そして、生まれる子も同じ症状があり、果てに。

水曜日だけは無音となった。

遺伝子に影響する新たなウィルスとも言われたけど、原因は未だにわかっていない。本来、音がないと自分がいる環境を把握できなくなり、脳の調子が悪くなる。深海ダイバーのように徐々に深さに慣れていったからか、無音は人にとって生命には影響はないとのこと。

私はふと当たり前と考えもしなかったことを無性に調べたくなった。
いまってどう表現されるのだろう?
うわ!物凄い数の情報が出てきた・・・。げんなり。
でも、つい知らないことが気になって、丁寧に見てしまう私の性分。

――――――――――――――――
●情報系
SNS・ネットニュース・動画などが爆発的な情報供給
検索すれば無限に出てくる比較情報
リアルタイムでの通知・反応の即時情報
他人の人生が視界に入る数の増加

●物質・流通系
多様なニーズに合わせた商品のバリエーションの爆発的増大
24時間アクセス可能なサービス。常に選択がある。
あまりに早い、多品種の常時供給により、季節感の崩壊

●感覚・環境系
音・光・映像との常時接続。街中広告は意識に留めてもらうために音量など爆音になった。

●心理・社会構造系
いいね数、フォロワー数などの比較・評価の可視化
常時オンライン状態のプレッシャー
ネットにある多くのSNS・アプリサービスを窓口とした境界が掴みきれない人間関係の増加
自己ブランド化・セルフプロデュース圧

●制度・ライフスタイル系
テレワークによる仕事と生活の境界が希薄化
多様性の名のもとに「正解探し」の難化
こうあるべきというべき論の氾濫

――――――――――――――――

変化スピードが本気ダッシュのような加速
コスパ・タイパ今すぐが当然
選べることが選ばされることに変わった。

もう、1文で簡潔に伝えてよという気持ち。長い、長いよ。
要するに、色々なものが足し算されて増えてるってことでしょ。
ぐわー、どばーって。ビッグバンのように。
しかも、書かれていること私には目新しくなくて当たり前だし。
爆発、氾濫、難化、希薄化とかあるけど、そんな感覚ないし。

なんだかいつもと違うことをして疲れた・・・。
まぁそんなことがあろうとも、私には今日、待ち遠しいことがあるのだ!

1日の終わりに、1缶のビールを飲む。
1日のご褒美が待ち遠しい。

待ち遠しい・・・
待ち遠しいって響き、好きなんだけど
漢字が気になってしまった、待つのが遠い?
あーあー、今日の私、何かのスイッチが入ってしまったのかな
こんなことしたらご褒美ビール1缶で足りるかなぁ

【待ち遠しい】
★楽しみにしていることが早く来て欲しいと強く願う気持ちを表す言葉。
★待つことが遠い=なかなかその時が来ない。物理的・時間的に距離がある、すぐに得られない、それでも心がそこに向かってしまうさま。

あー、なんとなく頭が渋滞しているのに調べたくなった気持ちが少しわかった。
そうだなぁ、私の今日の冷蔵庫でキンキンに冷えたビール1缶は・・・
『待ち遠しい』というより
「待ち近しい」というほうがしっくりくるかな。

・・・・・私の待ち遠しい・・・気持ち

私は、

私は、実は・・・水曜日が待ち遠しい

1週間で真ん中の水曜日、音がないという引き算が特別な日に思えるの
1週間の1日、水曜日だけ、音ではなく感覚と共鳴でつながろうとする。
ある人は、お互いに身振り手振りで、
ある人は、お互いに筆談で、

何かを信じているわけではないけど
この水曜日は神さまのアドバイスなのかな

私はそんな他の曜日にない特別な水曜日が待ち遠しくなっていた。

1週間の待ち遠しいを、もっともっと先に思いを馳せてみたいと思えた。
彼氏と相談してみようかな。
私たちの待ち遠しの話を。身振り手振り、筆談、そして会話を通して。

(了)

◽️プチストーリー【水曜日が、待ち遠しい】(作品No_11)

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  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-01-10

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