ゆめふぁーむ

夜になると、はたけがぽうっと光る。
こちらに一つ、あちらに一つ、わすれな草のように小さなひかりが、ぽっ、ぽっと芽をだして、したくをしているあいだに一面つつまれている。
月にとけい草のつるが伸びてゆくうちにより分ける。大きく光っているからのぞいてみると、虫に追いかけられていたり、お母さんがお化けになっていたり、こわい夢ばかりだ。いい夢はあっても一瞬だから、ぽぽぽっと光ったら逃さず刈りとってのぞいてみると、ああやっぱりだ、土星でピクニックをしている。食べているのは大好きなバニラアイス。さむくないのかな。
消えてしまわないうちに紙ぶくろにつめれば、あとはゆっくり。月のしずくで一服をして、花だんや公園に置いておく。開けてみた人がその夜いい夢を見られるように。

ゆめふぁーむ

ゆめふぁーむ

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-11-16

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