私の彼は恋愛偏差値30

出逢い

私の彼は恋愛偏差値30

恋愛出来ない男43歳。友達以上恋人未満の彼女35歳。十六年間の付き合い。そんな彼女がいるのに、彼の恋愛偏差値は30。赤点ギリギリだ。あれから、18年。59歳になる。この悟りを得たのは最近親友になった野田淳55歳から普通の恋愛についてのうんちくを、聞かされてからだ。恋愛ドラマ。エリート大学生は皆んな経験してるらしい。恋愛出来ない男。麻生龍太郎59歳。友達以上恋人未満の彼女瑠美ももう50歳になる。16年間。ドライブも行った。デートもした。なのに。彼女は普通に恋愛ドラマに登場する様な彼女じゃない。大半は2人でパチンコ三昧。そんな、龍太郎は野田淳から進学校そして大学、恋愛、結婚のパターンを聞かされた。2年半前に知り合った。彼女は年齢差30。現代的な彼女に惚れてしまった。案の定。この2年半。LINE交換も、したのに。未だ。食事に行くことも出来ない。ましてや。堂々と誘うこともできない。龍太郎はこんなに。彼女を好きになったのは、産まれて初めての経験。どう誘えばいいのかも理解できない。女性は瑠美が、いるじゃないか。気張って、世間並みな女性に好意を寄せなくてもいいじゃないか。でも、瑠美には金銭的に16年間も世話をしている男がいる。そんな瑠美は、もう、子供もできないし、その真美って娘にいかんねと葉っぱをかける。野田淳から。世間並みな女性の、恋愛観、結婚感を聞かされてから。ドーンと落ち込んだ。そんなネガティブなエネルギーの何倍も真美を好きになってしまった。

序章

年齢差30。精神年齢は18歳。星の王子様伝説のある。熊本県の東バイパスの郊外に位置する、星の王子精神科デイケアでひまわりのような出逢い。が、2019年2月。織姫と彦星は。時空を航海中に。足を滑らせて大怪我をした。来年の七夕に暗雲が。
真美「織田信長知らないんですか」
私「織田裕二なら知ってる。東京ラブストーリーで、セックスしようとリカに言われて、ビビった男」
真美「頭、おかしいの」
私「精神病院に四度ぶち込まれた」
真美「何故」
私「君と出逢う為」

第一章

出逢い

真美「四方寄町。これ読んで」
私「しかたよりまち」
真美は。もうひとつ、付け加えた」
真美「九品寺」
私「くもんじ」
真美は、白い肌がだんだんと赤みを帯びてきた。そして、私に宿題を突きつけた。
真美「本能寺の変を読んできて」
私「それは、任せて。壇ノ浦の合戦だ。平家の生き残りだった。祖父母は、天草の隠れキリシタンとなり。質素に暮らしていた」
これが。私と真美の出逢いだった。真美は進学校を卒業して国立大を中退している。私は哀愁の工業高校工業化学科。私は真美に質問した。
私「卒業実習で学んだ事は」
真美「実験でしょ」
私「いや。甘露飴を作った。知らないだろう、甘露飴は、昭和の飴玉だ」私の教養と学問のなさは、甘露飴に始まった。化学科の卒論が何故甘露飴か。ふざけるな。甘露飴で。化学工場の仕事が務まるか。案の定三ヶ月で退職した。
今日も明日も明後日も真美はもうやって来ない。私は次第に真美を想うようになってきた。そして、LINEに好きな事を真美に相談する内容のメッセージばかり送るようになる。そして、真美は週に2日はデイケアに顔を見せるようになる。しかし、その顔はそっけない。私も、そっけない顔をしていた。真美に話しかけても、たわいのない会話しかしない。ここで。誘うべき行動を忘れていた。そんな折。真美との出逢いを日記につけ、日記は出逢った時から。その上に小説風に書き直す。そして、私は病んできだした。ついに思考が破裂する。それは、統合失調症の、再発だ。嫌まて、妄想してるわけではない、恋愛妄想じゃない、恋の病。しかし、真美に呟いている。その真美は会ってもそっけない顔をしている。LINEと言う言葉が真美の前に出ると、出てこない。そして、真美はデイケアにやって来なくなった。そしてそして。LINEには既読もつかない。私は終わった恋だ。何も起こらなかった恋。まるで、アンビリバボーな日々だった。LINEをブロックするのもめんどくさい。ほったらかしにした。一ヶ月が過ぎる。恋は忘れた頃に再燃する。スマホのキーワードに引っかかったのは、タイムライン。既読をつけずに読めるらしい。ブロックされたのかは理解できない。が、とにかく、毎日。呟く、日々が半年続く。その間は全くの音信不通。しかし、唯一な接点が存在する。真美の働く会社の前を毎日通るし、毎日、愛車を横目で見て通勤する。これじゃ忘れようにも忘れる事は出来ない。ひとつの偶然な存在かもしれない。それに、よく言われる、運命の魂の相手なんだろうか。
最近、自分の誕生日のナンバーの車とよく遭遇する。昔。読んだことがある。偶然の重なりはなにかしらの前兆なんだと。この頃までは、私は普通の恋する男性のひとりであった。それを一掃させたのは。潜在意識と言うキーワードを探り当てたこと。この日は予期せぬ出来事への遭遇。私は迷信とか心霊な世界を体験する様な人間ではない。それがまるでブラックホールに吸い込まれるように、スピリチュアルと言う。特異点に到達した。そこに待っていたのは、真美と言う幻想の世界の女性だった。そして、半年間動かなかった、現実の真美との接点が動き始める。私はスピリチュアル関係の本を手当たり次第に読みあさる。現代流な情報の収集は動画サイトにも及ぶ。これが。潜在意識の誘導なのだろうか。現実の人間関係に変化の波が待っていた。
精神科のデイケアに通いだして、一年半。あまり、女性の人達と会話することも無い。その日は、突然閃いた。お昼休みに、駐車場にある。車から戻ろうとすると、真美と共通の友達が目に入る。私は、彼女らも煙草を吸うのかと後ろからついていった。案の定。煙草だ。そして、彼女らと会話が弾んだ。人間関係に変化の兆しだ。そう、スピリチュアルの記事に書いてある。共通な友達だ。真美の近況が話題になる。私は、趣味で小説を書いている。最近のモチーフは真美との出逢いだ。文豪には女性の影が潜んでいるのは常識だ。これまでは。過去の出逢った彼女達が主人公。指折り数えると、実に面白いキャラクターの設定になる。

繋がり

ドキッとした会話が友達から放たれた
友達「小説に私を実名で書いたでしょ」
真美は、トーク画面に既読はつけないのに、タイムラインを見ていた。私はかなりの衝撃を受けた。その勢いで、LINEのタイムラインに朝から会おうとメッセージを送った。この行動にまたしても、友達の口から。
友達「真美ちゃんを誘ったでしょ、真美ちゃん、慌ててたよ」
私は。血迷った。再会のメッセージをやめた。破棄した。何しろ、この一年半。真美のカラオケの誘いを蹴るわ。食事も蹴るわ。私は、真美に走らない。何故なのか、私には自分が理解できない。そして、この勢いはさらに強力になる。夢には明晰夢と言う。夢をコントロールできる人間もいるらしい。私が見た夢は。リアルな真美が登場してきたり。ネクタイを直したり、会話したり、空港で待ってと。走ってきたり。夢は浅い夢の時間に見るらしい。この夢は二度寝で、早朝の五時に見る夢。スピリチュアルの世界では、魂と繋がってるらしい。そして、現実な世界で、半年間の音信不通の末に、大変な出来事が起こったのだ。
真美「スマホを見ていたら、つい、私のトーク画面に操作を誤って、既読をつけちゃった」
私は直ぐにこの動作に気がついた。とにかく、食事に誘う。メッセージを送った。その日。返信は来なかった。次の日、駐車場に真美の愛車が止まっている。私は早退して愛車を見つけた。やばいと思い。急いで車に乗り、病院を退散した。真美は診察に来ていた。なにか気になる。途中で病院に電話する。友達を呼んでもらうが。いないらしい。私の意識が騒いでくる。私は病院に戻る。外来に行くが、真美は見当たらない。椅子に座り。看護士と話していると。ショートカットの女性が通り過ぎた。真美だった。私の感情は落ち着いていた。さっきの状態が嘘の様だ。真美も何かしら私に対して感じている筈だ。次の日に奇跡を起こしたのだ。受付で。真美の。ひょうきんな声が聞こえてくる。目の前を。走って通り過ぎた。声をかけれなかった。その夜。奇跡が起こった。
LINEのトーク画面に、真美ちゃんからのメッセージが飛び込んできた。
「いつも返さないけど、返事書くので(LINE)返してます。話聞くのに、ご飯食べに行ってもいいけど、1人じゃ」
次の日
「昨日は。バトミントンに行ってたから、返信できませんでした。ごめんなさい」
「いっぱいお話ししましょう」
このメールにグッときた。私は一杯呟いたお礼にティファニーをプレゼントしようと思ったが、真美はこんな高いものいらないですよと言ってくれた。まるで私のお財布の中身を知っていた様だった。翌日僕は、真美を誘った。

不運

第二章 不運

真美「いつ行くんですか」
咄嗟の電話での応対に、明日と答える。
真美「明日は用事があります」私は、また電話しますと答えた。
ニュースを見ると???が猛威を奮っている。すると。メールが飛び込んできた。
真美「友達が???が鎮火するまで待とうと言ってます」
私は強引に攻めなかった。承諾した。その後、1週間真美への連絡を断つ。その後、電話も応答に出ないLINEに既読もつかない。ここでも。強引に攻めない。会えなくても、友達に伝える事は出来る。そんな妙案までも浮かばない。現実にあの日から一ヶ月が経ったが、脈はあったんだ。私は心がもがき始める。ネガティブな行動がさらにネガティブな行動を引き起こす。
真美は、私が行動を起こさない事に意外性を感じていた。顔を合わせていた頃は普通に会話もコミュニケーションもしてる。LINEの世界では呟くだけだ。真美にはこの男の行動が理解できない。鏡の前に自分の顔を写してみると、額にはシワができる。それに、私の年齢を5歳も年下に見てる。
私は真美には最低の自分しか見せていない。15年前に倒れた時。真美も神経症を患ったと聞いた。いつか見た。真美の髪は滑らかでフワッとした感触がするが、病の後遺症か白髪がある。この15年間。私は陰性症状らしき症状と格闘しながら、仕事にも挑戦している。でも。正社員の座からは転げ落ちた落ちこぼれだ。そんな私は真美に出逢ってから本来のポジティブな性格に変化した。同じ、道は歩まないと決めた。目標は作家だ。二度目の挑戦のバレンタインデーに読まれる文学賞の発表が近づこうとしていた。

不可思議

落選するとはわかりきっていた。真美は、症状が悪化していた。いつもより強迫性の動作が止まらない。このままじゃ作業所での永遠の生活。とても。自立なんて出来ない。私も妄想が悪化する。 そんな折。私は潜在意識と言う本を手にした。その隣に、ソウルメイトのあなたへと言うタイトル。初めて聞く言葉である。気になるのでスマホでキーワードを打つとヒットした。普通じゃない恋愛。読み進めていくと、普通じゃない恋愛のパターンがあるらしい。真美と出逢ったのは、2019年。そして、2020年の???ウイルスの予言。こんな出来事を見えない世界。スピリチュアルと言うらしい。真美との関係を振り返ると、タイミングやすれ違いが多い。そんなに変わったことはない。妙に気になる。精神疾患に襲われるのには意味があるのか。私は精神病。真美はどうも神経症。性格は似ている気がする。でも。年齢差がひっかかる。おやっと思うのは、すんなり、進展しない。真美は、少し。男性恐怖症があった、酷くはないが、強迫性の、症状。
夜、本の事が頭に残っていて寝付けないでいる。気晴らしに車に乗り、深夜のドライブに走る。15分程海岸を走っていると、突然、目の前にワゴン車が海から目の前に現れる。急ハンドルで回避した瞬間。その車の影も形も見当たらない。車を降りるが、車の気配も。それに海から車が割り込んでくるのも、おかしい。身震いがして帰宅へと急ぐ。信号機で止まっている車のプレートナンバーは、89-14見覚えのあるナンバー。真美のナンバーだ。

入院

いつも通りに真美の作業所を通る。目ん玉を大きく開いて、ナンバーーに目をやると、そう89-14だ。昨日見たナンバーだ。それに、やたら。ゾロ目のナンバーが目につく。スピリチュアルを検索していたので。よりいっそう、見えない世界を疑ってしまう。あれから。皆んなと会話しても真美の情報は入ってこない。それより。未知との遭遇。私は幻を見たのだろうか。スマホを今日も、完全音信不通。あんなに出現していた夢の中の真美も消えた。やっぱり何もない関係なのか。
週末。気晴らしのドライブに出る。国道を10キロほど走る。一瞬視界に飛び込んできた車のナンバー。確かに。89ー14。車体は水色だ。偶然にしたら出来過ぎだ。この日は土曜日。日曜日も遭遇した。少し思考回路がおかしくなってきている。また、統合失調症に襲われているのか。翌日、精神科の外来に診察を受ける事に。先生は入院を進める。最近の真美とのエピソードを語るわけにはいかない。実家に電話すると。お金はなんとかなる、入院しろ。あっと言うまに入院手続きが行われた。

結末

私は女性にはコントついていない。進展すると何故か、気持ちが暴走してしまい、気がついたら精神病院に4度ぶち込まれる。恋愛偏差値30の男は結婚偏差値は〇点だ。おまけに、5度目の入院は自らの意思でぶちこめられた。院内には、何も持ち込めない。スマホもない。雑誌もない、音楽もない。あるのは紙と鉛筆。不思議な事もない。サイキック能力は幻想の世界の出来事なのか。入院した当日に、悟った。入院してる場合じゃない。行動力。真美の愛車にぶちあたれ。任意入院だったから2週間で退院できた。気持ちは。強気だ。デイケアに今日は。バスで行く。真美の作業所の近くがバス停だ。このバス停の前を、遅刻する寸前に真美は通る。こないだ、見かけた時間は把握していた。実家から、30分。バス停に着くと、椅子に腰掛ける。前方に水色の車が見えた。私の前で。奇跡だ。車が止まった。
真美「昨日。見ましたよ。LINEに、バス停の前で待ってますと。今日は休みです。どっか行きますか」恋愛偏差値30の男が彼女を誘うのを成功させた。これから先が問題だ。
真美「本能寺の変は読みましたか」
私「本能寺の糞は見た」
その返事は真美の知的好奇心を欠いた発言。
2人きりなると落ち着いた。
真美「攻めないですね、攻めると堕ちますよ、今日は」
私「ホテルなんかはどうですか」
真美「いいけど。責任取れます」
私は。あっさりこの発言を取り消した」
真美「何処が恋愛偏差値30ですか、瑠美さんいるじゃないですか」
私「今度の小説のタイトル」
真美「私の結末は」
私は、返答に困った。その時閃いた。アファーメーションだ。
私「ハッピーエンドです」
真美は笑った。
私「とにかく真美さんに魔法をかけます」

ここまで読んでくれてありがとうございました

私の彼は恋愛偏差値30

私の彼は恋愛偏差値30

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-03

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  1. 出逢い
  2. 不運