*星空文庫

恋心

赤羽根 比呂 作

恋心

 嫌な事があって忘れようと思って、笑っても、泣いても、叫んでも、
 気がまぎれないのに何故か君の顔を見ると安心するんだ。
 恋? 
 そうかもしれない。
 でも、君が僕じゃない誰かと話してると落ち着かなくてまたイライラしてしまうんだ。
 恋するってこんなにつらいんだって思い知らされた。
 -こんな恋してる僕は嫌いですか?


 そばにいてほしい…と思った事何度もあるんだ。
 でも君に伝える事何か出来ない。
 君が僕じゃない誰かを想っていると気づいたから。
 告白したってしょうがないって分かってるのに、伝えたい。
 でも、勇気の無い僕は結局伝られない。
 -こんな弱虫な僕は嫌いですか?


 苦しくて、切なくて、辛くて…。
 僕一人じゃどうしていいのか分からなくて何度も何度も震える手でダイヤル押したんだ。
 でも、最後の一つが押せなくて、伝えたい事が沢山あったのにどうしても押せなかった。
 -こんな度胸のない僕は嫌いですか?


 君の影を見送るだけ。
 愛されたいのに愛してくれるのか不安だった。
 何もかもが嫌になって、暴れたとしても君は僕を見捨てないで側にいてくれる?
 どれだけの時間をついやせば君は僕の気持ちに気づいてくれる?
 -こんな独りよがりな僕は嫌いですか?


 あの日、君と君の大切な人が一緒にいる所を見てしまったんだ。
 だから、君をあきらめようと思った。
 でも、君はいつものように無邪気に微笑みかけるから決心の糸が何本も切れてしまうんだ。
 君の事なんか考えなければいい。
 考えなければ、君の事も考えなくてすむ。
 でもそれじゃ寂しすぎて自分に嘘付いてて、どうして良いのか分からなくて、
 もやもやしてて、辛くて結局君の事考えてた。
 -こんな無責任な僕は嫌いですか?


 強がりで弱いところを誰にも見せたことがなかった君が
 初めて見せた泣き顔はモノクロ写真に撮りたくなる程綺麗だった。
 目頭に溜まった涙が、
 まばたきをした瞬間こぼれ落ちピンクの頬に伝う二本の線が何もかも許せそうな顔をしていた。
 君を今直ぐにでも抱きしめたいと思った。
 -こんなずるい僕を君は嫌いですか?


 やまない雨のように泣きじゃくる君の震える身体を抱きしめたいのに、
 倒れそうな身体を支えてあげたいのに、声が出ないんだ。
 足が、身体が動こうとしないんだ。
 こんなに心が震えてるのに僕はこんなにも臆病だったんだ。
 -こんな勇気の無い僕は嫌いですか?


 ごめん、何も出来なくて。
 じっと見てることしか出来なくて。
 君の役に立てなくて。
 ごめん。ゴメン…。やるせないよ…。
 -こんな無力な僕は嫌いですか?


 あきらめようとしたんだ。
 こんなにも度胸が無い僕を君は必要としないと思ったから忘れようって。
 一方通行でいつも渋滞で追突ばかりしてるから
 傷つく前にこれ以上君に引かれる前に君を忘れようと思ったんだ。
 でも傷付くなら君が良い。
 こてんぱんに打ちのめされても後悔しない。
 そう思い直したんだ。
 -こんな自分勝手な僕は嫌いですか?


 一言だし、たった一言…。
 もう悩むの嫌だから。
 嫉妬ばかりしていたくないから。
 ずっと想ってたから。
 どんな答えが返って来ても落ち込んだりしないよ。
 たぶん…。
 だから聞いてほしいんだ。
 後悔ばかりして、度胸が無くて、弱虫で、無責任で、ずるくて、
 勇気が無くて無力で、自分勝手で、独りよがりな…そんな僕を『好き』になってくれますか?

 - end -

『恋心』

『恋心』 赤羽根 比呂 作

嫌な事があって忘れようと思って、笑っても、泣いても、叫んでも、気がまぎれないのに何故か君の顔を見ると安心するんだ。 『恋?』そうかもしれない…。※続きは本文へ。

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更新日
登録日 2013-01-15
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