春の短歌
気づかない? 私の心も傷つくの あなたの大事なあなたみたいに
金属のような時間が流れてる あなたのデートの相手はスマホ
愛猫のやさしいまろみを思い出す 右後ろ足付け根あたりの
まやバース猫又三郎とんすネコ なんと呼んでもニャーと答えき
降りかかる火の粉を払うその指で引き金を引くこともあるらし
コロナ禍で疲れた人の心にはロシアに怒る風ぞ涼しき
血も凍るロシアの基地に花を敷き 兵士も遊ぶバリケードになれ
あと少し生きれば俺にも芽があると信じもせずに死なずにもいる
あの頃のあなたの歳は越えました あなたの背中は越えられませんが
夢にのみ君を見し夜はひとり寝る布団の透けるように冷たし
まだ何も終わってないのに人の手でもう次が来そう3.11の日
人の世の契りは徒となりぬれど花の季節は違はざりけり
音楽の向こう聞こえるバイク行く 酩酊に沈むどこにも行けない
指先の落とす灰ほど儚げに曇り空に吐く煙消えゆく
春の短歌