秋の短歌

不注意な君つけし傷われひとりならつかぬ傷もう増えぬ傷

核廃絶永田町まで五十キロ、ワシントンまで一万千キロ

シリアから逃げる人達引き裂かれ終戦記念日アイス食べる僕

寝る妻と歩く我とのずみの葉の一つの木にも生ふるとぞ思ふ

上手いことやれている僕水面下もがいてる足あと何メートル?

湧き出づる汗を拭へど多摩川に満ち溢れたる虫の声かな

寝られたり寝られなかったり寝ちゃったり寝取られてたり猫を飼ったり

ふるさとの施設に父を置き去りに犬の糞など拾う秋の夜

思ひ出は赤き葉となり秋桜(あきざくら)誰の肩にや今落ちにけむ

地球(このほし)の命滅ぼし火星(となり)では滅びた命の跡を求める

父の父そのまた父もこの空と海に育ちき来島者のわれ

観光も何もしないでじいちゃんのそばにいたいが子供たちヒマ

宇宙(そら)に行くクルードラゴン曇りたる十五夜なぞは過ぎし代のこと

あの秋のベッドに琴を寝かせたら寂しさのあまり泣き出したろう

日原の地獄の谷に座りをれば我は地獄に行けぬ気がする

もう一度愛してるって言うためにいちいち映画を見てる僕たち

どんぐりの落ちる音のする天目山あたまに喰らうために背伸びす

秋の短歌

角川全国短歌大賞で佳作になったやつとか電子書籍に載せてみたりしたやつとか、結構思い出深いです。

秋の短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-07

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