早春

早春

小さな頃から、何度も時が駆けるのを見た
死に向かって矢のように飛んでいた

置いていかれるのは恐ろしかった
乗っているのも怖かった
私はただじっと
じっと耐えていた

賢ければ何をなすか悟っただろう
意志があれば何かをなしたろう
達観すれば無為を成す
何もせぬことすらできない

もう何度死んだろう
一度も生きたことがなかった

私はただじっと
じっと私に耐えている

早春

早春

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-27

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