虫の恋

虫にとり、
恋は一生に一度、
生涯最後であるように、
これが最後であるとよい。

一人では、親の死には耐えられない。
夢にも手が届くまい。
そばにいて欲しい。

翅を焼く、夏の炎はもういらない。
この秋の、穏やかな空こそ望ましい。
雌が長生きするとよい。
君が最後になるとよい。

  宵待ちのきりぎりすの鳴くわが宿の
    君が手植ゑし花をまた愛づ

珍しい青春の恋はもういらない。
君が最後になるとよい。

虫の恋

今日はいい夫婦の日ですね。

虫の恋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-22

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