親に甘やかされて育てられ、自身も娘を甘やかして育ててしまうお菊。七五三の日に、愛娘の千代がハトに襲われてしまい、追い払った拍子に弾みでハトをひどく傷つけてしまう。その時、お菊はかつて自分が忌み嫌っていた母親のある姿と自分を重ねてしまう………
若きカリスマ小説家山村時代のインタビュアーに任命された文芸雑誌のルポライター本条。しかし本条は、山村時代と彼を過度に持ち上げる世の風潮を密かに嫌っていた。複雑な心境の本条に突如、彼をインタビュアーに任命した編集長から飲みの誘いが来る。何と編集長も本条と同じ反山村時代派だったのである。思わぬ意気投合に気分を弾ませかける本条。しかし、そんな彼に対し、編集長は山村時代の小説にはある不可解な秘密があると静かに打ち明ける……
皮膚が弱く、夏場はひどいカブレと蕁麻疹に襲われるズボラな成年アキオ。特に股座は二目と見れない程にひどく荒れていたが、自慰中毒でもあるアキオはどれだけ幹部が痛んでも欠かさず行為にふけっていた。それでもやはり体の不調を改善したいと考えているアキオは、小耳に挟んで訪ねてみた古い漢方屋から怪しい軟膏「猫舌」を手渡される。これが画期的なほど効力を見せるのだが、改善と同時に、アキオは世にも恐ろしい身体異常に苦しまされることになるのであった……
新興宗教で発生した集団変死事件。遺書として教祖の半生と教団の変遷を綴った教団幹部の手記が、事件の手掛かりとなる教団の神とその神の真実を顕わにする、和製クトゥルー神話。
あの日、私は復讐を決めた─ 家でも虐待され、学校ではいじめられてた女子高生・夢叶。そして、ペットのミルクとココアと唯一の見方であった遥子が殺されたことで夢叶は、復讐を決意する。 その方法はあまりにも残酷なものだった─
愛子は、親の策略で、体こそ弱いが、心はとても優しい男、尋一と結婚した。二人で呉服店を始めたが尋一はまるで商才がなく愛子はいらだちを隠せない。彼女は、失声症になってしまった青年、健太と関係を持ってしまい、さらに夫婦関係は泥沼化していく。
その男は不老不死を得た。 読者にはまず、この男に起こった恐ろしい、あまりにも残酷な運命について、あらすじのように淡々と述べることをお許しいただきたい。 この出来事はあまりにもおぞましいので、ドラマチックに事細かに描くには、私の精神力が追い付かないのである。 私はこの話を作っているとき、ひどく精神力を消耗した。もうこのような話は二度と書くまい。