自分の身体を隠そうともせずに、夏の太陽のまばゆい光の下にさらして笑っている陽大は自然体だ。
誰も自分を杏樹とは別の人間なのだと、解ってくれる奴などいなかった。誰も自分を『陽大』と認める人間などいなかった。かたくなに他人の侵入を拒み、みんなで築いてきた心の壁が崩れていく気がした。
他にもこの国の資源を狙っている国がある。載秦国は今のところ何ともないが、近隣の小さな国は、その資源を求めてやってきた奴らに、次々と植民地にされている──
ここは、人間界系第一魔界ガルドラ。 砂・水・火・葉・氷・岩・風・華・雷・金・闇といった十一個の属性で成り立っているこの魔界に、突如異変が起きた。 謎の領主・キアの陰謀により、砂龍族(さりゅうぞく)の王女リタ姫は、北端の領国・レザンドニウムの奴隷として攫われてしまう。 ここから、リタ達奴隷戦士の運命が大きく変わろうとしている。―― 高2の頃から温めていたオリジナルファンタジー小説です。
蓮の花が美しく咲き誇るこの庭を眺めながら、皇太后はいくつもの夏を過ごしていたのだ。淡い鴇色の花の中に、一輪だけ白い蓮が咲いていた。聡は階段を降りて、そっと白い蓮の花に触れた ──第一部 完──