井戸端カフカ

目指せ!絶望名人!

カフカは、文学の先に広がる地獄的な異世界と、他人と助け合いながら上空を低く強く飛ばなければいけない近代世界、どちらにも属することが出来ない。本質的曖昧さを生きた小説家であるカフカは近代的な価値観の中の作品を産出する個人としてではなく、常に作品に誘惑され絶望しつづける子供としての在り方を求めた。クンデラはカフカの文学を「文学以降の文学」と呼んだそうだ。カフカは目的もなく雪原の中を彷徨いながら書く行為を続けていくという、新たな書き方を文学に提示したのである。