舞一

あ、洗濯物取り込むのを忘れてた。 そういった私は、ベランダに走る。

── 馬鹿なの?

そう言われた私はハンドルを切りながら、微笑む。

そうだ、私は馬鹿なのだ。まるで理論をしらない赤子のような愚か者なのだ。

そうだよ と私はつぶやいた。


青から黄色に変わる鉄の塊を見て、わたしはゆっくりとブレーキを踏む。

彼女は窓枠に肘をつきながら乾いた唇を小さく動かした。

── 馬鹿なりにがんばったらいいじゃない。

私は目を瞑る。

「馬鹿なりに進んでみるよ。」

私はまた 小さくつぶやき、鉄の塊が青色になったことを確認して

ゆっくりとアクセルを踏んだ。