冬の支度

そこら辺に寂しいものは転がっていた。虫の巣食うドングリの亡骸みたいで、中は穴だらけ。それでもお腹が空いて仕方ないので、それを口に放り込んで紛らわす。美味しい筈もなく、中に潜む苦虫を噛み潰した。冬になるってのに、一向に太れず、痩せ細っていくばかり。自分の中もきっと、穴だらけなんだ。

冬の支度

冬の支度

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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