ーープロローグーーー




「行ってきます。」



いつも通りの日常



「いってらしゃい。気を付けてね。」



優しいママの声



「未羽、何かあったらすぐに連絡するんだぞ。」


優しいパパの声


「お姉ちゃん!お土産忘れないでね!!」


今日も元気な妹









大好きな家族






大好きなあなた









幸せな日常がいつまでも続くと思っていた・・・




























-----キキッ-----!!!バン!!!!!!!

ーーー空の上の出会いーーー



ーーーーここはどこ?



周りを見渡しても何もない


ただ、真っ白で何もない世界





「私、何があったんだっけ?」


何も思い出せない



真っ白な世界にただ独り



なんだかよく分からない


ずっとこのまま何もしないわけにはいかない
とりあえず誰かいないか探してみることにした




「誰かいませんかーー?」



私の呼びかけに誰かが返事をするわけでもなく
右の左もわからないこの世界を歩く



歩く?


なんだか歩いている感じがしない

歩くというより空中を滑っているような
不思議な感覚





ーーパチッ



「えっ?何?今の・・・」



まるで静電気のような電流が私の右手に走った
でも痛みは感じない


「確かこのあたりだったような・・・」



私は両腕を前に出した

何か薄い膜のようなものが張ってある


「なんなの?これ・・・」


そこにある膜のようなものに触れると
相変わらずパチっパチっと電流が流れる



痛みはない

私は思い切って手をもっと前に出してみる



ーーーパチッ


両手首まで進んだところで電流は流れなくなった
何かを突き破ったような感覚がある


こちらの世界から見れば手首から先が
すっぱり切れてしまったような
異様な光景だ


だが手首から先の感覚はまだ正常のようだ

それにこの世界から抜けた手に
なんだか懐かしい空気の流れを感じる


もっと腕を前に出す



やっぱり私知ってる・・・
この空気・・・
とても懐かしい


一旦、腕をこちらの世界に戻す



「どこも異常ないよね?」


両腕を裏表しっかりチェックする
両手を握ったり開いたりを繰り返す


よし、異常はないみたい


私は地面に膝と手をついて四つんばいの格好になる



ーーーこの世界の外を覗いてみたい



私の好奇心がそうせずにはいられなかった


膜を破るときに顔に何度か電流が走ったが
気になるほどではない



顔に懐かしい空気の流れを感じる

私はゆっくりと目を開けてみる




なんだか遠くに懐かしい街並みが見える
その中に一軒、ものすごく懐かしい建物を見つけた


中から中年の女の人が現れた
買い物にでも行くのだろうか
オレンジ色のトートバックを持っている
その人の横顔はすごく疲れた表情ですごく悲しそうだった


頭が痛い


何か無くしてしまった記憶を取り戻すかのようにーーーー



目の前がチカチカするーーー


頭の中がぐちゃぐちゃと掻き回されているような感覚だーーー








「マ・・・・マ・・・・」



私は無意識にそう口ずさんだ




無くした記憶の欠片が頭の中で
組み合わされていく



「ママ!!!私!ここだよ!!!」



届くはずがないのに私は泣きじゃくりながら叫んだ


必死になって両腕を伸ばす



なんで??????



感覚はあるのに腕がない


まるで透明人間








頭がクラクラして意識を失いそうになる



ーーーーーー落ちる



バランスを失った私の体はここから落ちる






朦朧とした意識の中で・・・









「おい!!!!!!!!!」






誰かが私の腕を掴む





そして私は意識を失った



























???「この子、シールドから落ちようとしたのよね?」



???「ああ、きっとここにきてからそれほど時間は経っていないんだと思う」






誰??


朦朧とした意識の中で誰かの喋り声がする






???「この子どうするの?この世界のことまだ何も分かってないみたいだし」





???「あっちの世界で亡くなってから一か月ってところだろう。時間の流れがここと比べて随分早いからな。向こうは。」








亡くなった?
時間の流れ?


聞き取れた言葉の意味を考える




このままずっと寝ているわけにもいかない





瞼をそっと開いてみる




















どうやら私はベットで眠っていたらしい
ベットの横のサイドテーブルに薄明りのランプが優しく灯っている










そして私を取り囲むようにして3人??






いや、4人の男女がいた

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2012-11-09

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