悪食

味がしない、というより分からなくなった。これはきっと薄じょっぱい味。固い物をばりばりと噛み砕く。破片が口内で転がった。何を食べても味がなく、一緒だった。昨日の食事が思い出せない。今何を食べているかも判然としない。その内何も食べなくて良くなるんだろう。気付けば口の中が血塗れだった。

悪食

悪食

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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