飼い殺し

喉を掻き毟って、表皮を破り、その下に覗く肉から血を滲ませ垂らしながら嗚咽を堪えて吐き出したい何かが、それでもやっぱり出てこない。叫び、のたうち回って、奥歯を食い縛り、歯茎を剥き出しにして、舌を噛み、唾液と涙に塗れながら、僕は体内に渦巻く憎悪を殺せず、また生かせず、逃がせずにいた。

飼い殺し

飼い殺し

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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