王子

王子は王子であることをやめた。我儘なだけの姫。さらに己の役の立ちどころをよく理解していたが為に全部嫌になった。国も政治も最早どうでもいい。群衆は皆王子を蔑んだ。今ある地位を放り捨てるとは世間知らずだと。だが地位や権力にすがりつく心ほど醜悪で、飢えていることを王子はよく知っていた。

王子

王子

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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