羞恥

化粧水と乳液を肌に浸透させるように両手のひらで覆う。液が目に染みないよう瞑る。その瞬間、ふと「死にたい」と耳の奥で呟くのだった。鬱めいたものでなく、これは羞恥だ。のうのうと生きてきた自分への。立派に身形を気にする人間ではないのだ。人並みの真似をしている自分がどうしても滑稽だった。

羞恥

羞恥

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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