失ったもの

夏の大雨は背の高い雑草を青々と育てた。青紫と赤紫の朝顔が咲き、蔓が伸びている。そこへ運ばれ小さくなった砂利。踏むと、周りを警戒させる音がした。水底の岩の色を映した川は光の屈折で所々白金の様に輝く。水面下では岩魚が踊り泳いでいて、この景色が今や博物館でしか体感できない時代となった。

失ったもの

失ったもの

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-08

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