夏の短歌

夕立の拝島橋を走りゆく車の上を急ぐ白鷺

我が袖に断末魔の蝉羽ばたきて暗きも暗きへ手首引き寄す

梅雨はいま明けぬと思ふ七月の雨はやみけり合羽着る間に

自転車のサドルに花を覗かせてわれを見送る妻の向日葵

歩けない夫を支え子の来るを喜ぶ母の口元に皺

われわれの不戦の誓いよ消し飛ぶな終戦記念日嵐来るとも

空蝉のこの身だにさはあらなくに何をかわれの意のままにせむ

夏の短歌

夏の短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-06

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