なんだかやれそう
ベタつく汗で夏が来たことを知る午後
布団のシーツを変えようかとか思いながら
冷蔵庫のコーヒーを飲む
煙草を買いに外へ出る
早くから開いた呑み屋の煙が懐かしくて
無性に涙を流したくなったりする
海辺の旅館のにおいとか
銭湯のにおいとかを思い出したりする
日が暮れるとちゃんと涼しげな風が吹いて
昼間はすまなかったとでも言うように
夏は割と意地悪だけど
どの町にも等しく味を添えてくれる
セブンスターの安っぽい煙を吐きながら
真っ直ぐな恋がしたいと思った
ぼくはそっとiPhoneを取り出して
Tinderのアプリを消した
なんだかやれそう