『観る将』歴1年目の人間の思うこと

KAZUYA S.

  1. はじめに
  2. 『観る将』になるまで
  3. まとめ
  4. 注釈

はじめに

BS1スペシャルの羽生善治九段のドキュメンタリーを再放送で見たのがおそらく2019年の3月末くらい。この番組で感じたのは、筆者は勿論羽生さんのことは知っていたけれども、それは名前だけ知っているということで、実はほぼ何も知らなかったということだった。『観る将』にせよ生粋の将棋ファンにせよ、そういった人たちからすれば本当に何を今さら、ということなのだろうが、当時の筆者としてはそれが実感だった。※1
そこから急激に将棋観戦にのめり込む、ということもなく、AbemaTV(現ABEMA)のNHK杯(NHK杯テレビ将棋トーナメント)のビデオをちょろちょろと見たりする程度。将棋好きなら誰もが知っている羽生さんの大逆転勝利&加藤一二三九段(当時、現ひふみん)の解説もそこで初めて知った。これは仮に将棋のことを全く知らない人が見たとしても色々と衝撃を受ける映像だと思うが、当時の筆者からすれば、今まで将棋番組や将棋中継をちゃんと見た経験がなかったこともあり、言ってしまえば物珍しさから見ていたのが大半だった。※2
一応断っておくと、筆者はこのような全く需要もないと思われる文章を書いている今でも、何も知らないという人と比べれば知っているのは確かだろうが、決して大手を振って将棋好きです、と名乗るほどでもない。が、特に将棋に関心もない(かといってとりたてて敬遠していた訳でもない)人間が、約1年を経て曲がりなりにもタイトル棋戦の挑戦者が誰になるのか、などと気にするようになった訳だから、上記の番組および放送回がそれだけ惹きつけるものがあったということだと思う。入り口としては最良だった。

『観る将』になるまで

こうして、それまで特に意識することもなかった筆者の将棋への“壁”のようなものはなくなったが、要はミーハーな羽生ファン予備軍に昇格したというだけの話である。この時点では。ただタイミングとしてはとても恵まれていた。それはなぜか。──時系列的にこの頃の将棋界がどうだったかというと、言うまでもなく藤井聡太フィーバーである。※3
筆者が『観る将』という言葉を聞いたのも、ワイドショーでかなり大々的に藤井聡太さんの特集をやっていて、その前後が初めてだったかもしれない。まあ穿った見方をするようだが改めて整理しているとまんまとそれに踊らされているなあと思う。
そんな中ふと、AbemaTVに将棋チャンネルがあることに気付いた、というか思い出した(?)のである。「そういえば……あったなあ」と。そこで藤井聡太さんの対局の中継があるという。「中継なんて見たこともないけど、どんなものかな」と考えるのは人情だろう。それが

第67期 王座戦 挑戦者決定トーナメント(1回戦) 藤井聡太七段 対 佐々木大地五段

であった。見てみると放送日は2019年6月3日となっている。
実はこの放送のインパクトがスゴすぎたせいか、色々と筆者の記憶(この回が本当に初・将棋中継だったのか等々)が曖昧になっている。極私的で恐縮だがこの日は月曜日で仕事は休みだったので、時間を持て余していたのは確かだ。少なくとも中継の番組のスタートから放送の全体を見るというのは初めてだったと思う。
こちらとしては初めてなので、なにしろ勝手がわからない。この時はまだ将棋中継=NHK(BS)でたまにやっているもの、という程度のイメージしかないので当然といえば当然で、AbemaTVだと結構くだけた雰囲気なんだなあ、などと漠然と感じていたくらいだ。
村田顕弘さん、和田あきさん(その日の午前中の中継担当:通称早番)が話されている棋士の方の名前なども申し訳ないがわかるはずもない。なにしろ羽生ファンなりたての身なのだから。とはいえ新鮮なことは新鮮で、将棋の世界というものはこういった感じなのかな、と不慣れさゆえ感じる多少の落ち着かなさとともに楽しんでいた。※4
ここまで書いてきたが、もしこの日の放送のことを知っている方がいらっしゃったら、このあと筆者が何を書こうとしているのか薄々察して頂けるだろうと思う。──しかし残念だが筆者にその模様を克明に書くだけの筆力はない、し将棋の内容が云々というようなことももとより書けるはずもない。申し訳ないが。
ただ一つ言えるのは、素人ながらも対局自体の面白さというか凄味は勿論のこと、先のお二人以外の中継の出演者の方(藤森哲也さん、加藤桃子さん、深浦康市九段)も含め、個人的には担当されたスタッフさんまで全てが醸し出す和やかなムードが素晴らしかった、と書けば少しはあの時の(放送から感じる)雰囲気を描写していることになるだろうか。なんで筆者が慣れないタイピングをしてまでこの文章を書いているかといえば、そのときの感謝を伝えたかったからに他ならない。と言っていいと思う。この放送が、実質筆者にとっての将棋中継の初観戦だったというのは、この上なく幸運なことだった。
お礼代わりになっているかどうかわからないが、将棋はわからないけどここまで読んで下さったという方に向けて、特に印象深かったその三名の方の紹介をしてみたい。
藤森哲也さんは現在(これを書いている2020年6月2日)も継続して放送中の、『第3回AbemaTVトーナメント』のドラフト会議で、戸辺誠さんと共に実況を担当された。のみならず、加藤桃子さんと解説だった放送回については、解説部分のみのダイジェストが「藤森語録」として5分程度に再編集され、ABEMAビデオで視聴できる。
──ご存知ない方にしてみればお前は何を言っているんだ、と考えられるのももっともだが、これは本当にそうなのだから仕方ない。ただこれも筆者が述べてきたその回の反響がやはり大きかったということだろうと思う。
加藤桃子さんはとても朗らかな方だなあと感じた。その回が(ABEMAの)初めての中継担当だったということで……などと書いていて日本将棋連盟のサイトの「今年度女流棋士成績・記録」のランキングをちょうど見てみたら勝数・対局数ランキングが1位だった。スゴい。
深浦康市さんは佐々木大地さんの師匠で、同郷だということを後から知った。先日(といっても調べたら4月末だった)藤井聡太さんと生放送でインターネット将棋で対局し、これもABEMAビデオにて視聴可能だ。
我ながら実に薄い情報だと思うが、そこは『観る将』歴まだ1年なのでご容赦願いたい。※5

まとめ

万が一これから将棋のことを知ってみようかな、という方に向けてあらかじめ断っておくと、筆者は将棋が強くなりたいとか詳しくなりたいと頑張っている訳では“決して”ない。そのようなモチベーションだからというのもあるだろうが、なんだかんだ1年近く『観る将』をやっていて急速に棋力が上がったとか、解説の内容をスラスラ理解できるようになった、ということも勿論ない。しかし間違いなく将棋というものの魅力というか魔力にとり憑かれてしまった。言うなればヤられてしまったのだ。
それだけのものが佐々木大地・藤井聡太戦にはあったし、中継を担当された出演者の方にしても単なる中継の枠を越えた盛り上がりを感じていたのが伝わってきた。素人でも間違いなくそれは感じた。
とはいえ何もわからなければ(『観る将』であっても)楽しみようもないのは確かで、今は解説サイトもたくさんあり、将棋ソフトやアプリも市販のもの、それ以外のもの等選択肢も豊富である(筆者は対CPU戦派なので市販のものがいい)。※6
将棋関連の書籍もこんなにあるんだ、とビックリするほどある。筆者はまだ利用したことはないが電子書籍も様々なものがある。入門書に限ってもである。今後読むとしたらコラムやエッセイのようなものがいいかな、と考えている。ただ将棋用語辞典のようなものを1冊は持っておくのがいいと個人的には思う。ファン歴はもの凄く浅いとはいえやはり筆者は羽生さんのものを持っている。
上級者の方がよく仰っている(?)ように強くならないと面白くない、というのはその通りなのだろうなあ、と思う。というよりそう思うようになった。
さて、この得体の知れない文章もようやく終わりである。上述の王座戦の中継と前後して放送された『第2回AbemaTVトーナメント』と、同じタイミングで再放送されていた『第1回AbemaTVトーナメント』、『第1回女流AbemaTVトーナメント』等のことも当初は書くつもりだったのだが、一番書きたかったことはもう書いてしまったので割愛する。(一つだけ書くとしたら、VTRの作り方など、意識しているのかわからないが格闘技やプロレスを見ているかのように感じる=煽りVというやつ)どれも本当に面白かった。将棋に詳しい、詳しくないは筆者はあまり関係ないと思う。雰囲気が何となく好き、というくらいでも見てみる、見続けるきっかけにはなるのではないか。※7

注釈

※1 参考までに筆者は最低限の駒の動かし方、ルールがわかる程度である。レベルなどというのもおこがましい、本当にその程度。ただバラエティ番組か何かで小池重明のことを知り、本を読んだのは辛うじて覚えている。また、熱心にスポーツを応援したりはあまりしないのだが、山際淳司さんや金子達仁さんの本などは読んでいたので、今にして思えばその延長上のようなつもりでこの番組も見る気になった訳だ(ザッピングしていて偶然見つけたのだが)。
※2 なぜNHKの番組をABEMAで?というのは不思議である。今では羽生さんと対局したのは中川大輔さんと当然知っている。この放送回は現在見られなくなっている(ABEMA上では)。
※3 ここの注釈では年表風に藤井聡太さんの関連のニュースなど当時の盛り上がりぶりなどをまとめるつもりだったが、忘れてしまった。今でこそ慣れたが、どうしてもはじめのうちは人名(特に漢字)というのは難しいものだと思う。
※4 解説と聞き手で分かれているというのも慣例なのはわかるが、正直どっちでもいいじゃねえかと思ってしまう。初めて将棋を知る人にどう説明するのだろう?
※5 ここまでABEMAの話ばかりなのは、単純に筆者のSIMカードでABEMAを視聴しても容量制限の対象外だからである(いわゆるカウントフリー)。SIMカードって何?という方はとりあえずそういうものがあると思って頂ければいいです。そして残念ながら、まもなくこのビデオは月額の有料サービスに入っていたとしても視聴不可になってしまうのだが、おそらくどこかで再放送されると思う。(注:根拠はありません)
※6 いわゆる将棋AIについてもわかっていれば説明したいのだが、筆者には導入の仕方すらわからなかった。どこかの解説サイトでは『説明を読んでもよくわからない人はあきらめてください』とハッキリ書いてあって、その対応が正解だと思う。
※7 『観る将』になってみればわかるが、棋士には本当に色々な方がいらっしゃるものだと驚くばかりだ。好きの度合いがさらに高じれば、棋士の方のTwitterもフォローするようになるのだが、筆者としてはそのステージに行くにはまだ早いようだ。

『観る将』歴1年目の人間の思うこと

注釈とは言ってますがほとんど注釈になってませんね。すいません。

『観る将』歴1年目の人間の思うこと

将棋 観る将

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-03

Public Domain
自由に複製、改変・翻案、配布することが出来ます。

Public Domain