カレーのしみ、あるいは

こんな格好で カレーを食べたのが間違いだった
お気に入りの白いパーカー
あの人は好きじゃなかったみたい

人混みが嫌いだったから花火大会には行かなかった
待つ時間が嫌いだったから遊園地には行かなかった
本当は耳をつけてはしゃぎたかった
浴衣で花火を見上げながらこっそり手を繋ぎたかった
あの人は好きじゃなかったみたい

しみついた汚れはなかなか取れず
あの人との思い出もなかなか取れず
木の葉の隙間からもれる光
しおのにおいかもめのなき声
いつもの散歩道
隣で光に手を透かす
あの人が好きだったもの

しみついた汚れは全然とれず
その内なんの汚れか忘れるのでしょう
ただしみをつけたという事だけをふっと思い出すのでしょう
眩しかった くすぐったかった
しょっぱかった あたたかかった
あの人が 心のそこから好きだったみたい

カレーのしみ、あるいは

カレーのしみ、あるいは

しみを気にするか気にしないかは人によりますね。私は隠してきます。 いずれ感情だけが残る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-03

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