自殺志願者

例えば自分が今、この世に立っているということを。
誰かに知らしめたいと、するならば。
まず自分を滅却せよと。誰かは、言う。僕に言う。
泣きたい訳じゃない。泣きたきゃ泣け。
投げ出せ。全部。全て。
自分が信じられない奴は、死ねばいい。
神様は、殺す。躊躇いもなく。
では、なぜ自分は生命を維持させようとするのか、
生命を維持させようとするのか。
分からない。分からないじゃ、だめだ。
でも、分からない。じゃあ、何処だ此処は。
君は、何処にいる?


屋上から飛び降りる直前の、自殺志願者は蒼白な表情をして、
青空を眺めていた。


ここに一人の少年が自殺志願者を助け出して、無事、
ビルの一階は残骸清掃の的にならずに済んだ。なんて
、悲観的。


おまえは、何がしたいんだ?穴埋めです。
でも、すぐ滑り抜けて行っちゃうんです。
どうしましょう?
壁、突き破って行くしかないだろう。
それ以外、ないだろう。


自殺志願者は、自殺する術も持てずに、仕方無く、
今を生きることになりました。
それが、幸か不幸かなんて分からない。
全部、結果論であり過去なんて、いくらでも書き換えられる。


僕は、何がどうなっているのかなんて、まるで把握できない。
ただ、流されるままに、ここに立っているだけだ。
自殺志願者だった人間は、そう言い、
孤独な修羅の道を歩き始める。

自殺志願者

自殺志願者

僕が、自殺志願者だったら、あなたは、救えますか? 無理です。 それでは、読んで頂けると、幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-08

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