【執筆中】最低な恋人

メイロラ

「好きと言えなくて」


ヤスユキ(男)
マイコ(女)


◇◇◇

マイコ:ん……

ヤスユキ:おはよ、マイコ。

マイコ:ん、ああ、ヤスユキ……おはよ

ヤスユキ:今日は休み?

マイコ:うん、さすがにね、有給取った。

ヤスユキ:大丈夫? 今日は大事な会議の日じゃなかった?

マイコ:そうだけど、さすがにね。

ヤスユキ:顔色悪いな。あんまり寝れてないのか?

マイコ:まあね。

ヤスユキ:じゃあもうちょっと寝てろよ。

マイコ:うん、ありがとう。なんか優しいね。

ヤスユキ:うむ、俺は優しい彼氏だからな。

マイコ:そうだね、優しいよね。

ヤスユキ:うむ。

マイコ:いつも優しかったよね。

ヤスユキ:まあな。

マイコ:で、一つ確認いい?

ヤスユキ:どうぞ。

マイコ:あんた、一昨日、死んだよね?

ヤスユキ:だな。

マイコ:だよね。なんでここにいるの?

ヤスユキ:自分でもわからない。気が付いたらここにいた。多分、心残りがあるんだろうな。

マイコ:心残り?

ヤスユキ:そういうわけで、マイコ。悪いけど、脱いで。

マイコ:……は?

ヤスユキ:おっぱい見たい。

マイコ:……は?

ヤスユキ:多分、俺が成仏できないのはそのせいだ。死ぬ前に、もう一度マイコのおっぱいがみたい。

マイコ:……はあ。

ヤスユキ:俺はマイコのおっぱいが大好き。

マイコ:知ってるよ。

ヤスユキ:ちょっとだけ、ね、ちょっとだけ?

マイコ:うるさい。

ヤスユキ:なんでだよー、ちょっとだけ見たら帰るから。

マイコ:帰るの? どこに?

ヤスユキ:どこって、うーん、どこだろう?

マイコ:昨日のお葬式で始めてお母さまに会ったよ、優しそうな人だったね、やつれてたけど。お姉さんだって泣いてたし。学生時代からの友達だって人も何人か来てた。

ヤスユキ:うん、見てた。申し訳ないなーとは思う。でもしょうがないじゃん。急にトラックつっこんできてさ。俺悪くないんだってー!

マイコ:聞いたよ。

ヤスユキ:全然驚かないから逆に驚いたよ俺は。マイコってばクール。

マイコ:家族よりも、付き合いたての彼女のところにきたのは、おっぱいに未練があるからだと?

ヤスユキ:そうそう、というわけで、みせて?

マイコ:……ヤスユキはいつもそうだよね。

ヤスユキ:なにが?

マイコ:本音を言ってくれない。

ヤスユキ:何を言っている。俺はいつも本音に正直だぞ。マイコのおっぱいが好きだ。

マイコ:私のおっぱいねぇ。

ヤスユキ:うむ。マイコのおっぱいは素晴らしい。大きさといい形といい。

マイコ:もういい。

ヤスユキ:なんだよ。

マイコ:勝手に死んで、言うことがそれ?

ヤスユキ:あれ、これ俺怒られる流れ?

マイコ:彼女置いて死んでおいて、怒られないと思っているならバカじゃないの?

ヤスユキ:だから俺のせいじゃないんだって。

マイコ:うるさい。

ヤスユキ:いやだって彼氏とは言っても、俺マイコを困らせてばっかりだったし、付き合いだしてまだ三ヶ月だし。そんなにショックでもないかなーって。

マイコ:もういい!

ヤスユキ:完全に怒った?

マイコ:……

ヤスユキ:ごめん、じゃあ行くね。

マイコ:……

ヤスユキ:ごめんな。最後に未練がましく会いに来たりして。

マイコ:……

ヤスユキ:俺がいなくなったらちゃんと寝ろ。風邪とか引くなよ。お前、すぐ体調壊すから。

マイコ:……

ヤスユキ:じゃ、行くな。

マイコ:ダメ。

ヤスユキ:え?

マイコ:いや。

ヤスユキ:嫌って。

マイコ:目が疲れてて、首が痛い。ほぐして。

ヤスユキ:お前すぐ体ガチガチになるもんな。でも、無茶言うなよ。そうしてやりたいのは、やまやまだけど。

マイコ:いつもマッサージして楽にしてくれたじゃない。

ヤスユキ:ついでに、おっぱいさわるけどな。

マイコ:で、私が殴るけどね。

ヤスユキ:整骨院でも行けよ。あと目の周りをホットタオルで温めろ。パソコン作業はこまめに休憩入れて。

マイコ:揉んでもらいながら、仕事の愚痴聞いて欲しい。

ヤスユキ:無理言うなよ。

マイコ:だよね。

ヤスユキ:うむ。

マイコ:死んでるもんね。

ヤスユキ:残念ながら。

マイコ:……がと。

ヤスユキ:な、なんだよ。

マイコ:ありがと。

ヤスユキ:え?

マイコ:会いに来てくれて。

ヤスユキ:うん

マイコ:幽霊になってまでおっぱい言われるとは思わなかったけど。なんでこんなときまで下ネタに逃げるのよ。

ヤスユキ:……いやー。

マイコ:一瞬でもいいからもう一回会えたら、ちゃんと素直に言おうって思ったのに。

ヤスユキ:マイコ、もしかして、俺のこと好きだったの?

マイコ:好きじゃないし。

ヤスユキ:素直じゃないな。

マイコ:ほっといてよ。もう行くんでしょ。勝手にすれば。

ヤスユキ:ほんと、俺は下ネタしか言えない上に、勝手に死んでいった本当にダメな彼氏だよな。マイコの黒歴史の一つとして終わったほうがいいんだってことはわかってた。

マイコ:じゃあなんで会いに来たのよ。

ヤスユキ:欲望に負けた。

マイコ:おっぱいの?

ヤスユキ:実を言うと、幽霊だからエッチなことには興味ないんだよね。

マイコ:さっきまでおっぱいおっぱい言ってたくせに。

ヤスユキ:照れ隠しに決まってるだろ。

マイコ:わかるか、そんなもん。

ヤスユキ:そこをなんとかーわかってよー俺のガラスのハート。

マイコ:知らない……

ヤスユキ:……機嫌直して。

マイコ:努力はする。

ヤスユキ:抱きしめていい?

マイコ:うん。

ヤスユキ:……といっても、感触はないんだけどね。

マイコ:うん、でも、なんか、あったかい。(涙ぐむ)

ヤスユキ:泣くなよ……

マイコ:泣いてないもん…

ヤスユキ:泣いてるだろ。

マイコ:(声を殺してなく)

ヤスユキ:本当に泣き虫の甘えん坊だよなマイコは。俺はそんなマイコをちゃんと受け止めてやれるか自信なかった。ぜんぜん甘えさせてやれなくてごめんな。小さい男だって思われて嫌われるのが怖かった。

マイコ:わかってる……いいよ、わかってるから。会いに来てくれたからもういい。

ヤスユキ:ねえ、マイコ。

マイコ:なに?

ヤスユキ:ちゃんと恋愛しろよ。

マイコ:は?

ヤスユキ:今度はちゃんと、もっといい彼氏作れよ。世の中にはいい男がいっぱいいるんだからさ。

マイコ:殺す。

ヤスユキ:いや、もう死んでるんだけど。

マイコ:なんでそんなこと言うの? もういい! 一生、ヤスユキだけを恨んで、一人でおばあちゃんになって死んでやる。

ヤスユキ:なんでそうなるんだよ。

マイコ:なんで今、他の男の話なんてするの? ヤスユキのばか。最低。

ヤスユキ:……そっか、ごめんな。本当にごめん。

マイコ:私が欲しいのはそんな言葉じゃない。

ヤスユキ:そうだな……ごめん。

マイコ:だから、それじゃないって!

ヤスユキ:好きだよ。

マイコ:それ。てか遅いよ。

ヤスユキ:付き合う前からずっと好きだった。

マイコ:私も。本当は付き合えてうれしかった。でも、ヤスユキは、いつも下ネタではぐらかしてばかりで。別に私でなくても、誰でもよかったのかなーって思って。あんまり好きになりすぎないようにしてた。

ヤスユキ:好きになってよかったのに。いや、結果的によくないんだけど。めちゃくちゃマイコに好かれてみたかったな。もうお前俺のことどんだけ好きなんだよー!って言ってみたかった。

マイコ:いい彼女じゃなくてごめんね。

ヤスユキ:いい彼女だったよ。

マイコ:かわいくないし。

ヤスユキ:かわいいよ。

マイコ:ヤスユキ。

ヤスユキ:うん?

マイコ:もしかしてもう時間ない?

ヤスユキ:あ、わかる?

マイコ:うん、だんだん薄くなってる。

ヤスユキ:うん、実はけっこうキツイ。

マイコ:そっか、じゃああと少しだね。

ヤスユキ:……うん

マイコ:最後だね。

ヤスユキ:うん

マイコ:次、っていつになるんだろうね?

ヤスユキ:さあ?

マイコ:なにかの形で会えるのかな? 天国とか来世とかで。

ヤスユキ:お前間違って男として生まれたりするなよ。いくらBL好きだからって。

マイコ:バカじゃないの。ヤスユキこそ間違えてバッタとかに生まれないでよ。

ヤスユキ:マイコのおっぱいにしがみつくバッタがいたら多分俺だ。

マイコ:きもっ。

ヤスユキ:ひどいなー、あ、半分消えてきた、そろそろだな……

マイコ:うん……

ヤスユキ:泣くなよ。

マイコ:泣いてない。

ヤスユキ:好きだよ。

マイコ:うん。

ヤスユキ:マイコからは言ってくれないの?

マイコ:また今度ね。

ヤスユキ:今度か……

マイコ:うん

ヤスユキ:あ、そうだ、言い忘れたけど。

マイコ:え、なに?

ヤスユキ:……がさ。

マイコ:え、なに……なに? 聞こえないよ。……聞こえない。ヤスユキ? ねえ、ねえって。

(間)
(着信音)

マイコ:(電話にでる)はい、あ……お疲れ様です……はい、すみません、急に……え?……そうなんですか? わかりました、じゃあ午後から行きます。いえ、もう、いいんです。はい、大丈夫です……大丈夫なんで。


END
【手直し中】

【執筆中】最低な恋人

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  • 短編
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更新日
登録日 2020-05-31

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