この気持ちを言うなれば②

キミと私は、同じ価値観を持った人間。

ただ、それだけ。



あれから2週間がたった。

新しくコート買おうかな…なんて、フラフラ出掛けた先でキミからのメール。


『今から会いませんか?』


………唐突すぎる。

え、この人馬鹿?今の時刻は午後7時。
私の家とキミの家は、お世辞にも近いとは言えない。例え同じ県内でも両端で。

かなり時間がかかる。

いや、でも…


『どうしたの?』

いきなりの誘いに違和感、答えが知りたくて短なメールを送る。


………

………………



……………………寝たのかな?


きっとまだ数分しか経ってないけど、キミからメールがきてないかと何度も携帯を開いてる私がいた。


ちょ…自分キモい…


こんな人間じゃなかった。
私は…こんなんじゃない。


握った携帯のバイブがメールの着信を知らせる。


『…なんか…寂しい』


それだけの文章にどんだけ時間かけてんの?

どんだけの想いを込めたのさ…


『分かった、行くよ』


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2週間ぶりのキミの部屋は、模様替えされていた。

『あぁ、彼女が来て…もう帰ったんですけど、一緒に部屋の模様替えしたんですよ』

そりゃ…よかったね。

なんか、苦しい。
こういう話とか好物なんだけどな
キミから聞くのは、なんかつらいよ。

『彼女さんどうだった?遠距離だっけ?』

そこから彼女さんの話を聞いた。
いや、本当に聞きたくなかったけどね。
惚気じゃなくて愚痴だったけど…



また同じベッドで寝た。

ねぇ、キミはなんで寂しいなんて言ったのかな…

彼女さんがいなくなった部屋で寂しさを感じたの?


なんで、私なのかな


なんで、キミなのかな


キミの寝顔を見て、愛おしいなんて


思いたくなかったよ


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帰りの車の中で、キミは最近気になってる女の子がいると私に話したね。

いや、キミ彼女さんいるでしょーが。

『彼女とは続かないよ、なんかダメなんです』

女の子泣かせないでよ。本当…

『じゃあ、彼女さんと別れて、頑張りなよ』

素っ気なく、紡いだ言葉に自分が傷付いてた。

傷付いてた自分に、泣きそうになった。

『……私さ、気になってる人がいるんだ』


何度も『自分の知ってる人ですか?』と興味津々に聞くキミが可笑しくて笑ってしまった。


『うん、どうだろーね』


気付いて欲しいけど


やっぱり


この気持ちは知ってほしくない


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それからまた2週間経って、キミがカラオケ行かないかと誘ってきた。
もちろん、唄うの好きだから『いいよ』って返事したよ。


薄暗い部屋の中で何曲も数え切れない程唄って、フリータイム10分前。
キミは突然話を切り出したよね。

『前に言ってた子と付き合う事になりました』


私は、上手く笑えてたかな…?


『へぇ、良かったじゃん。おめでとう』

『なんか向こうから本気にさせるから付き合ってよって…』

『きゃーw両思いじゃん』


大丈夫、ちゃんと喋れてる。


『らんなさん、好きな人はどうなったんですか?』

『んー…あー、フラれたかもね。ははは』


私のことはいいよ。
何も聞かないでよ…涙が出そうになるじゃん。


『ふぅん、慰めてあげましょうか?』



………嫌いに、なろ。

私の頭を撫でる手も

優しく見つめる瞳も

私の名前を紡ぐ声も

煙草の味がする唇も



大好きなキミの全てを



嫌いになる


大嫌いになるの





うそ、


全然…嫌いになれないよ

大好きなの

キミが、大好き


この気持ち言うなれば


後悔



せめて、この想いだけは…伝えれば良かったな

この気持ちを言うなれば②

この気持ちを言うなれば②

ノンフィクション第2弾です。『後悔』編。 これは彼女のいるキミに恋した話。 それでも、少しでもキミに近付きたかった。 傷ついても、傍にいたかったんだ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-08

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