この気持ちを言うなれば①

はじまりは、メル友の掲示板。1月の初め。

キミと私が初めて出会ったのは、1月30日。

今でもあの時のことを覚えてるよ。


その日は確か他の人との約束がダメになったことでいじけていた私にキミが一緒に宅飲みしようと誘ってくれたのが始まりだったんだ。


誘ったのはそっちなのに…待ち合わせの時間が過ぎても現れない、顔も姿も声も知らないキミ…。つまらないからキミがどんな人間なのか頭の中でイメージしながら駅のベンチに座りながら考えてたんだ。

あ、もしかしたら悪戯かな。

だってただのメル友だもん。

実はそこら辺から隠れて笑ってるかも…うわ…嫌だなぁ。

吐く息が白い…あー寒いなぁ、帰っちゃおうかな………


『……らんなさん…?』


名前を呼んだ声が、イメージより低くて、落ち着いてて…
見上げた先にいた人間がキミだなんて、直ぐに解らなかった。

思ったより低いけどしっかりした背格好、幼い顔、黒ぶちメガネが何気に似合ってて、ちょっとやんちゃそうな容姿…

絶対、モテるな

それが私がキミに対する第一印象でした。


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キミの住むアパートへと向かう車の中で色んな話をした。血液型とか年齢とか誕生日とか…何も知らなかったお互いの話をした。

キミとの話の中で驚いたのが…考え方が面白いくらい一致すること。まるで自分と話してるみたいな感覚。それはキミも感じていた様で、二人して騒いだ。

そんな価値観が似てるキミが気になった。

キミに近づきたくなった、キミを知りたくなった。

『らんなさんって恋人いるの?』

いきなりの言葉に、少しだけ期待しちゃったんだ。いないよって言ったら、キミは少しでも私のこと気にかけてくれるのかなって…。いや、この時本当に居なかったけどね。

『えーいるわけないじゃん』

『へー居そうなのに意外。自分彼女いますよ』

…………はい?

今なんて言った?

彼女いますよ……?間違えてないよね?



私は出会って1時間で帰りたくなったんだよ?


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ん……?
わ、ヤバい!寝た!涎垂らしてないよね?!

キミの家についてからピッチが早くて酔い潰れてこたつに転がって寝てた。

サッカー観戦してたのにな…どっちが勝ったのかな…というか、酔い回るの早過ぎだよ。
しかも毛布かけてくれてあるし…


キミは私の挙動不審な行動が可笑しくて笑ってばかりだった。

『こたつで寝ると風邪引いちゃいますし、ベッドで寝ましょうか』

正直ね、いや…キミがお客様用の布団とか用意してくれてれば、こんな思いしなくても良かったんだと思う。


キミには彼女がいるのに


大体枕だってさ、ちゃんとあるのに


腕枕なんかして…キミは私の何なのさ!


ほんと…ずるいよ……


背中を向けて寝ると『こっち向いて』と服を引っ張るキミ


これは計算ですか?


カッコイイくせに可愛いことしないでよね


諦めて振り向いたら

キミの紡いだ言葉に頬が熱くなった



顔も名前も知らない彼女さん

ごめんね?


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あの時の私は

私みたいなキミに惹かれただけ

キミって人間に興味があっただけ


だから

この気持ちを言うなれば


好奇心

この気持ちを言うなれば①

この気持ちを言うなれば①

過去に綴ったノンフィクションな話です。『好奇心』編。 忘れられない恋ってありますか? 叶わなかった恋ってありますか? 今は笑いながら話せますか? 私はまだ、泣いちゃって、無理だけど。 いつか、きっと、キミに出会えて良かったと笑える様になりたい。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-08

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