死ぬ時は君と一緒がいいな…
なにか強い衝撃があった気がする───。
目を開けても薄暗い
意識が朦朧とする
頭が処理できてない
身体が温かい…
あちこちに何かに滴っている気がする…
腹部もすこしズキズキするが
少しばかりか痺れている気もする…
少し焦げ臭い
左手にか細くもほんのりと温かい温もりを感じる
そうだ、これは彼女の手だ。
そうだ、今日は彼女とドライブしてたんだっけ、
何があったか覚えてない 高速道路に出たのは覚えている──。
気がついたら
僕と彼女の身体は地球から逆立ちしてるような体勢だったそれだけ。
窓ガラスが綺麗に同じ形で小さく散らばり、エアバッグの白い布の断片がまるで雪化粧のようできれいだ。
隣にいる彼女は項垂れ、安らかに眠っているような彼女の顔はまるで白雪姫のように美しく、僕が身を乗り出せるならキスをしたい。
キスをして白雪姫の王子様のごとく夢から醒めさせてあげたい。
僕が白馬に乗った王子様かは知らない、
少なくとも白馬ではないが白色の軽自動車には乗っていたはずだ。
しかも中古のすごく安い車。
煙の匂いが濃くなっている。ますます視界が歪む。
遠くからか、それとも頭の中分からないがサイレンが鳴っている様な気もする。
時より誰かの声もする、それも沢山の、そして無線のような曇った通話してるような声も聞こえる。
お巡りさんか消防士か救急隊だろうか?そんなものはどうだったっていい。
なんとなく解る、僕の命は長くない
息をするのもしんどくなって来たが自然と気持ちは安らかだ。
日々生きているより不思議にもおちついている。
冷水特有の皮膚にツンと刺激する感覚が僕を起す。
なんだろう?
たぶん、冷たい血の川が彼女の右手を伝って僕の左手にできてる気がする。
彼女のものかな?いや、ぼくのものだろうか?
そんなのはもうどうでもよいんだ、
油がやけるようなそんな匂いも時おりする。
火が出てるのかな?
なんか安らかで
睡眠薬飲んだ時より穏やかに寝付ける気がする。
僕は彼女のか細い白くも綺麗な赤い小川ができている手を握り直し目を瞑った──。
たぶん僕も彼女も2人ともこの世では起きることは無いだろう─。
おやすみなさい───。
死ぬ時は君と一緒がいいな…