スカートと一週間 ②

気づいたら、高校を卒業して10年も過ぎていた。時間ってこんなにも速く流れていちゃうんだ。
中学のときに先生が言っていた言葉を時々、思い出す。
「子どもの時の時間が一番長いんだよ。歳を重ねるごとに体感時間は加速するからね。」
ーー今なら少しだけ納得できる。
小学生の時は、学校が終わって、ランドセルを玄関に放り投げて遊びに行く。ただ一日を過ごすことに夢中だった。楽しい毎日が一生続くような気がしていた。

あぁ、もう一度あの頃に戻れたら……戻れたら? 一体何をすれば良かったのかな?
何をしていれば、秋斗とずっと一緒にいられたのかな。
席が隣になって浮かれてたあの3ヶ月間、運動会、修学旅行、それとも、一緒に遊んだあの瞬間……いつに戻ってどの行動を直せばこんな結果にはならなかったのかな?

ーーバカみたい。考えたって意味ないよ!もう終わったことだもん。
こんなこと考えたって、答えなんて一生出ないんだから。これから幸せになれば良いだよ!!
頭の中から疑問をシャットアウト!
田中がいたら、「考えることを放棄するな! だから、お前はバカがなおらんのだ。」って怒られるかな? 田中を思い出そうとすると怒ってる顔ばかりが浮かんできた。かなり短気だったからなぁ。あたしがちょっとヘマするとすぐ怒るし。
……頭の片隅で田中は、まだ、ぐちぐちとあたしを叱りつづけていた。
追い出されないよう抵抗する田中をなんとか、シャットアウト!

時計を見ると、7時45分。いつもより大分早く起きたことに今さら気がついた。
いつもなら、再び夢の世界へ旅立つ……ところだけれど、行きつけのハンバーガーショップの朝限定キャンペーンで今だけシェイクがつくことを思い出し、重い体を無理やり起こした。

最寄りの駅の中にあるハンバーガーショップ。仕事の帰りに頻繁に寄るのでメニューは、ほとんど頭に入っている。
「ビッグベーコンエッグバーガーを1つ。とろけるチーズ入りをオプションで!! あとポテトLとナゲット1つずつ……あとは、チキンのブラックペッパー味を1つ! 」
「いつもご利用ありがとうございます! ただいま、モーニングキャンペーン中ですので、バニラシェイクSをサービスさせていただいておりますが、どうされますか?」と店員はマニュアル通りのセリフを流れるようにスラスラと眩しいほどの笑顔付きで言った。
つられてあたしも笑顔になりながら答えた。「もちろん!お願いします!」

時計を見ると9時13分を指していた。
余裕あるって最高!
少し駅の中のお店でも覗こうかなと、あたりを見渡したあたしの視界に、目を疑うようなものが入ってきた。
「え……嘘」
10年間、何度か間違えて声をかけてしまったことがあった。もしかしたら、見間違えかもしれない。でも、見失うわけには、いかない。確かめるまでは。
あたしは、その背中を必死に追っかけた。

スカートと一週間 ②

ここまで、読んでくださった方々、ありがとうございます。
2話目を書き終えました( *`ω´)
下書きの段階で2行で終わらすはずだった部分で、2話目が終わってしまいましたヽ(;▽;)ノ
5話プラスαで完結するつもりだったのに収まる気がしません……泣
中学の先生の話は、実際に私が言われた言葉です。今、大学1年ですが、私自身すごく実感しています。大学生活あっという間に過ぎていってしまいます。現在進行形です。
そんな素晴らしい教えをくださった先生、今でも元気にしてるといいなぁ(*^_^*)

スカートと一週間 ②

一応、恋愛ものです。会いたすぎて震えてるような女と性格の悪い男の話です。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-07

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