【短編】壁

八神 隆輝

よろしくお願いいたします

目が覚めると目の前に壁があった。

この壁はどこまで続いているのだろう。
高さは50メートルくらいだろうか。左右を見渡しても延々と壁。確認しないと分からないが、おそらくずっと続いているのだろう。
さて、困った。
いったいどうしてこんな所にいるのか。どうやってここに来たのか。何も思い出せないが、1つだけ確信していることがあった。

僕はこの壁の向こう側に行きたいんだ

理由は分からない。何かあるのかもしれないし、何も無いのかもしれない。それを確かめに行くだけかもしれないし、目的地があるのかもしれない。
いずれにせよ、この壁の向こう側に行けば何か分かるだろう。
そうすると、どのようにして向こう側に行こうか。
登れるだろうか。いや、無理だな。この壁、完璧な90度だし、足をかける突起もなくツルツルしている。
なら、何か仕掛けみたいなものがあるだろうか。調べてみるのはいいが、面積が広すぎる。あまり得策ではないだろう。壁を壊すという手もあるが、残念なことに持ち物が何も無い。
色々と試行錯誤してみたが考えが一向に進まない。時計がないから分からないが2時間はたったのではないだろうか。
ふと、ここにきて思いつく。

別に、今この壁の向こうに行く必要は無いのではないか。

壁と反対側には、何も無いただの草原が広がっている。この道を進んでみるのもいいのではないだろうか。目的とは反対側にある。なんの解決策にもなっていないかもしれない。もしかしたら、何も無いのかもしれない。何年かかるか分からない。
でも、ここで立ち止まって考えるよりは、いくらかマシだろう。

僕は決心すると壁とは反対側に向かって歩き出した。

【短編】壁

【短編】壁

突然、僕の目の前に壁が現れた。

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