不老不死
ある国の貧乏な博士が不老不死の薬を開発することに成功しました。材料は貴重な生物の目やある島でしか取れない花の蜜などありとあらゆるものが使われました。それらを長い年月煮たり焼いたり燻したりした結果、一人分だけようやく完成することができたのです。博士はこれを全世界に発信しました。すると様々な国の政治家や資産家、スポーツ選手などが名乗りをあげ瞬く間に取り合いになっていきました。彼らは初めは言葉を使い、次にお金を使い博士の元を訪れるようになりました。博士は気分を良くしてどんどん値段をあげていきました。すると彼らはついに武器を使うようになりました。生き続ける薬を巡り殺し合いが始まったのです。博士がことの重大さに気づいた時にはもう殆ど争いは終わっており、怒りと悲しみで博士は薬を海へ投げ込みました。薬がじわじわと沈んでいくのをみながら博士はふと思ったのです。取り合っていたのは「命」だったと。
不老不死