終わりのない台本
ゆるりと落ちてゆくものが太陽の残骸だったときのあのもうこの世の夜は明けないのだと知ってマシュマロくらいの絶望しか芽生えなかった場合の身の拠り所について。森の奥の湖に沈んだそれが空高くに在った頃ひとびとが神さまのように崇め奉っていたのだと思うと失ったものはあまりにも大きく永久に湖底で朽ち果てるのかもわからず泥にまみれる姿を想像して嘆くのは致し方なしと先生がなにもない天を仰ぎ見る。
ぼくたちは月も星も見失ってしまった。
森の動植物たちもかなしみにくれ暗幕垂れた世界で生きているものたちはみんな悲劇のヒロインだった。ぼくと先生はせめてもの人間的行為として生殖活動を執り行っていたが成り立たないことを知りながらするそれは背徳を通り越してただ空しいだけだった。
終わりのない台本