あふれる

渡逢 遥

不安に駆られるたびにわたしは

閉めわすれの蛇口のような

無防備な振る舞いをしてしまう

わたしにとっての無防備は

完全防備と変わらないから

正しい嘘のつきかたなんて

とうの昔にわすれてしまった

方角を気にせずに歩いていたら

方角に気にされてしまう気がした

傷つくことができるひとにしか

傷つけられたひとを愛せないとおもう

孤独を武器にするのではなく

孤独がおしえてくれたことを護りたい

最期まで人間臭くいさせてほしい

たとえ蛇口が壊れたとしても

あふれる

あふれる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-05-19

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