つみびと
軽い性的な描写を含みます。
つみびと
 祈るように頬に触れ、願うように君を見つめた。
 微かな怯えを含んだ揺れる瞳はこれから起こることを予期し、期待するようで「わからない」を伝えていた。
 鼓動の速まりが彼女の胸を上下させる。触れれば容易く落ちるシーツだけが彼女を守る。
 僕はシーツに手をかける。
「こころまではきずつけないから──」
 僕の声は自らの鋭利さに優しさというベールを纏わせようと必死で、
「──あなたのことをきずつけてもいいですか」
 彼女は目を見開き、そして、顎を沈める。
 月明かり射すこの部屋に、彼女の赤い血が流れる。
 僕はつみびとになった。あなたを奪った、つみびとに。 
つみびと
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