ウイルス-戒厳令-

自衛隊が憲法に明記され、戦争のための組織でなく、災害のための救助を目的とした組織であったとしても、もし、
今回のような、ウイルスの外出の自粛要請が、国や県などから出て、その外出違反者に対して取り調べや取り締まりに、警察や自衛隊があたったら、
それは、戒厳令になる。
その時、本当に恐ろしいのは、
ウイルスの感染への不安から、市民が、それを無意識に望んでしまうことなのだ。

感染に対する死の恐怖。
他人に感染させてしまったらという恐怖。
経済的な破綻に対する恐怖。

様々な恐怖に対して救いを、国や県や、強い公共権力に、求めてしまうこと。

公共のインターネット空間を、自粛ポリスとして、自警団化して行くこと。

私は、今回のようなウイルスの存在を、確かに人々の健康の侵略者であるけれども、人々の精神に無意識的に侵略して行く、ナチズムのような存在と考えている。

人々に巨大な権力による監視を容認させたり。
いつの間にか人々の心の中に入り込んでしまい、巨大な権力に救いを求めてしまう、自由を拘束されても何も感じなくなってしまうような。

今回のウイルスとの本当の闘いは、ナチスに自分の精神の全てを委ねてしまうような市民の心理との闘い、と、考えている。

およそ八十年前に、カミュがペストでナチスとの戦いを描いたのに対して、今回は、ウイルスとの直接的な戦いじゃなくて、それを求めてしまう市民の心理との闘いのように思えるのですが。

ウイルス-戒厳令-

ウイルス-戒厳令-

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 時代・歴史
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-15

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