もう、なにも珍しくない
かつてのビートニクを思い浮かべ、時代の気分を想う
警鐘
もう、なにも珍しくない
捨てアカウントで
必要ないメールアドレスで
アバターみたいだ
路上で吠える理由
窓枠の外、雨音について
マスクの意味
もう、なにも珍しくない
壊れかけた外壁
爪の色
よく見掛けるようになったこと
ほつれ
もう、なにも珍しくない
検索履歴に引っかき傷を遺してやる
データ上でのわたしは偉大な変人
今さらの事柄
ビートニク
アレンギンズバーグ
2020年
もう、なにも珍しくない
現代詩 -ひとつや、ふたつ-
咳のひとつや、ふたつ
どうってことも、ないから
アーカイブの中に
きみが望むものがあったかい?
ひとつや、ふたつを漏らしたって
どうってこと、ないさ
マスクの中で、呼吸をする
籠っているのは、きみの呼吸
はあ と
ふう と
アーカイブの中に、
きみが望むものがあったのかい?
ひとつや、ふたつ
漏らしたって
どうってことは、ないさ
呼吸をしているのは、きみの呼吸
熱がこもり、ひとつ、ふたつ
アーカイブの中にある
もう、なにも珍しくない