ウイルス-持続感染-
そのウイルスに一度感染すると、ウイルスが何らかのかたちで体内に持続感染したままの状態になった。
体調が良い時は、検査で陽性反応が出るほどのウイルスの増殖は起こらなかった。
ウイルスは肺ばかりでなく、体内の臓器の中に潜んで、その宿主が弱ったときに活動を活発化させ、増殖した。
その時、他の誰かに感染させるリスクも高まった。
その事実が発表された時、ある人は新たな恐怖を、またある人は、絶望感を感じた。
少しづつ社会は陰性者と陽性者の二つのグループに別れていった。
ウイルスとの、戦い。ではなく、共生。
この言葉は、
ウイルスに感染した人と敵対するのではなく、感染者との共生という意味も含んでいたのだ。
しかし、
世界のあちこちでは、差別や偏見、暴力が、繰り返された。
ウイルス-持続感染-