ウイルス-調査-

私は、もう退職願も提出したので、今の研究所の仕事もあと二ヶ月弱で終わる。
個人的には、ゴールが見えている訳なのだけれど、このウイルスとの付き合いは、世界中の人々始まったばかりで、出口は全く見えない。
国の環境省の何処だかの施設から、私の仕事している研究所に、
このウイルスの発生源と思われるコウモリの現地調査に参加してもらえるかどうか?
という打診があった。
他の研究者はどうか知らないけれど、私としては、こんなウイルスと直接対面するのは、まずまずごめんだ。
ハリウッド映画の、『プレデター』や『エイリアン』に、何の予備知識も持たず会いに行くようなものだからだ。
私たち調査団がノコノコ会いに行けば、彼らが歓迎してくれるとでも、国のお偉いさんは思っているのだろうか?
私は、ただのコウモリの研究者の一人であり、ウイルスの研究者じゃない。
しかも、私は、都市型のコウモリの研究所の一職員でしかなく、未知のウイルスを持った野生のコウモリのことなど、まるで無知なのだから。
相手は、目に見えないほどの大きさだけど、獰猛な野生のライオンや熊、しかも新種の狼たちに素手で会いに行くのと同じなのだ。
ただ彼らの牙でズタズタに切り裂かれてしまうのが、落ちなのだ。

ウイルス-調査-

ウイルス-調査-

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-05-04

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