夏の縁

晴る

何もない今日 夏の縁

焼けるアスファルトの正午
蒸し暑い午後が来る
ああもうどうでもいいことだけで
何も覚えてないや
まあいいか電車に乗ろう

しかし呆れ返るほどの快晴だ
ただ涼しげな青が見えた
その真下には赤の花
百日紅の花が咲いている

停車駅は空いていて
ここにはまだ夏がいて
なんだかいまさらなんて思うけど
思い出したんだ君を
夏はきっと居座るんだ

だから呆れ返るほどの群青だ
ただけだるげな線路が見えた
その真ん中に君がいる
君だけを忘れてしまいたい
消してしまいたいのに

線路上に立つ
陽炎のように揺らがないほどに
逃げ水は君を映していく
車窓に切り取られた
世界にだけその風景にだけ
あの影を覚えていよう
送電線をつたい溢れる夏が
終わりますように
夏風が冷やす歪むレール横目に
次を待っているだけ
百日紅が散って秋が来る

空に澄んでいく 藍がふかんでいく
道に沿っていく 視界が開けていく

空がまどろんでいくから
涼しい夕が来た
頬をつたう雨模様と
空に彼岸花が開く

夏の縁

夏の縁

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
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