ベッドタイムストーリー

r.Takigawa

「この中に、毒林檎を食べてみたいと思ったことのある人はいる?ああ、全員ね」

どうして 物語で叶えてもらえる
願いの数は3つまでなの?
もっと沢山叶えてくれたなら
もっと 楽しいし、幸せなのに。

娘はこの世で一番きれいな瞳で言った。わたしは子供に向かって、この世は怖いところで、悪いやつがいっぱいいるんだ、夜21時以降は外へ出ちゃいけないし、鍵はいつ、いかなるときでもかけること。そして他人をかんたんに、信じちゃあいけないよ…それが君のためになるんだ、ベイビー。なんてことは十字架に磔にされたとしても言いたくなく、ただ妖精とサンタクロースとペガサスなんかは空気と同じよう存在しているし、虹のふもとには宝物が埋まってるんだといいきかせて来た。大昔に魔女や魔法使いがいたことも。もし、黄色いレンガの道を歩きたいなら、巨大な桃の中で旅をしたいのなら、心優しい子になるんだよ、とも。

「大人になると魔法が使えるようになるんだ」

「そうなの?」
ライトでぼやけた顔に、ふたつの瞳が輝く。

「ああ。だから、3つでいいんだ」

嬉しい、と娘は笑った。わたしは彼女が永遠に幸せでいられるよう呪文を唱えた…そして、ふたりはいつまでも幸せに暮らしました、と囁く天使のように。

「おやすみ。最高に楽しい夢を」

「パパもね」

うふ、とくずれる顔にキスをしてライトを消し、木の扉を閉めた。窓の外にはダイアモンドのような無数の星と白い羽根の生えた馬(鳥だったかも?)、紺色の夜空の中で、百点満点!―――とウィンクしながら親指を立てる、誰かの声がした。僕はクールに、「どうも」とだけ返し、暖かで緩やかな階段をゆっくりと、降りていった。

ベッドタイムストーリー

ベッドタイムストーリー

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-05-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted