学校の空白

誰もいない 誰もいない教室 机上の鉛筆は立ったまま

神様のいない 神様のいない階段 踊り場には黒いイヤホン

風の来ない 風の来ない屋上 僕の上には何もない空

何を掴めばいいんだろう

白い地べたはそのうち消える

青い空には水が溢れる

手は どこに行くんだろう

空気は掴めなくて信じられない

それでも耳は音を待っている

信じられなくても待っている

でも神様は現れない


廊下のざわめきが空に続いていく

洋式便器の渦は光を巻き込む

制汗剤の匂いは形を変えながら

鳴り止んだ電話のあたりを漂流している

学校の空白

学校の空白

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted