絶唱の掟

渓谷の風が8から15のフィルムを跡形もなく攫い

鳥籠のなかの鳥はどこかへ消えてしまった

絶縁体どうしを媒介していた懸想の残滓が正気を蝕んで目を腫れぼったくさせて視界を嫌というほど霞ませていくから
こんなわたしにしたあなたのことを死ぬまで恨みたかった

"死にたい"
の調律を戦ぐ風のなかで最も適正な状態に仕上げるには

覚悟を摘むのはまだ早かったようで
裏側が充分に熟していないと嗤われる

誰に?

確実にわたしを終わらせるためには
見過ごした音楽記号をすべて回収しないといけない

絶唱の掟

絶唱の掟

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-21

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